油性塗料で塗りたい方必見!ニオイの程度と回避法【完全解説】
外壁塗装工事で使う塗料には【油性塗料】と【水性塗料】があります。
水性塗料はニオイがほぼありませんが油性塗料を塗った時にはニオイが出ます。
花のニオイは【匂い】と書き「香しい(かぐわしい)」と表現されるのに対し、ペンキのニオイは【臭い】と書き「臭い(くさい)」と表現されます。
私はペンキ屋の息子として生まれたので、臭いと言われるのがとても嫌だったので、今回のコラムはいつもより力が入ってしまいました。
- 外壁塗装の計画があり、油性塗料を塗るか水性塗料にするかで悩んでいる人
- 油性塗料を塗りたいけど、ニオイ大丈夫か知りたい人
- ペンキには油性と水性が有るけど、どう違うのか知りたい人
- 油性塗料の方が品質は確実に良い。しかしニオイの問題がクリヤーできなければ水性にするのがオススメ。
- 油性塗料のニオイが「我慢出来ない」のは心構えが出来ているかどうか?がポイント。
- 油性塗料のニオイのメリット・デメリットを知って、後悔の無い塗料選びが出来る
- 油性塗料のニオイは回避出来る配慮ができる業者に頼めば軽減出来る
さて前置きはともかく今回はそんな、外壁塗装の塗料選びをする時に必ず出るこの話題「油性塗料とニオイ」についてお伝えしたいと思います。
1. ペンキは臭うもの?
塗料=ペンキと言えば昔は全て油性でしたから、当然ニオイがありました。 今でも現場を通りかかる小学生ちゃん達は、塗装現場に水性塗料の一斗缶が置いてあっても「あっ!ペンキだ!!臭ぃい~!!」と言って大騒ぎしてくれます(笑)
また、お見積りに伺ったお宅のご主人様が「隣は油性で塗ってるよ、臭うから」とおっしゃるので窓から見てみると、こちらも水性塗料しか置いてありません。
このように「塗料は臭うもの」という先入観は老若男女を問わず一般的にあるようです。
2-1. 水性塗料にも「ニオイ」はある
では水性塗料は無臭かと言えば、そうでは無く微妙なニオイはあります。
ただそれが、くさいにおい(→漢字にすると「臭い臭い」!?)と感じるかが問題になってきます。
水性塗料のニオイは個人的には「甘い感じのニオイ」と表現したい感じです。
2-2. ニオイの元は塗料では無い?
実は油性塗料のニオイは概ね「塗料のニオイ」ではありません。
一般的な塗料は液体の時に塗って、乾燥する過程で揮発する成分が空気中に出て行って固まります。
ニオイの元は、塗料が乾いた時に出て行った「シンナー成分=塗料の希釈液(うすめ液)」のニオイです。
(水性塗料で言うと「水」です)
3. ニオイの元となるシンナーの分類や特徴
水性塗料の「うすめ液」である水には種類がありませんが、油性塗料のシンナーには沢山の種類があります。
シンナーの種類を「ニオイ」の強弱で分けて簡略化下のが下記の表です。
ニオイ | シンナーの分類 | 特徴 |
弱い | 塗料用シンナー (ペイントうすめ液) |
一般住宅の外壁塗装でもよく使う塗料に用いられる 専門的には【弱溶剤塗料】用のシンナー 灯油に使い成分 |
強い | ラッカーシンナー アクリルシンナー ウレタンシンナー エポキシシンナー その他専用シンナー |
一般住宅の外壁塗装ではほぼ使われる事が無い バルコニーやベランタ゛の防水工事では使われる場合もある 専門的には【強溶剤塗料】用のシンナー マニキュアの除光液はこちらの系統 |
4. 一般的に言われている塗料のニオイによる不安
4-1. 自宅(家族)への影響はどの程度なの?
外壁塗装をする時に油性塗料を塗りたい場合に、ちょっと心配なのがニオイの度合いです。
ニオイへの感覚は個人差に大きく影響を受けますが、一般的に困ってしまうポイントの多くは下記のような症状です。
- 気分が悪い
- 頭痛
- 食欲不振
- 目がしょぼしょぼする
上記のような症状を感じたら、まずその場にはいられません。
それ以上の不快感があれば危険ですから、その場から移動(避難)しましょう。
4-2. 近隣への影響はどの程度なのか
ニオイが出る塗料を使って心配なことと言えば、近隣への影響があります。
一般的にはお互いの敷地境界が歩ける空間が無い場合(家の外壁と外壁が1メートル以上離れていない場合)には注意が必要です。
家と家が離れていればシンナー臭は届く前に風に乗って飛んでいってしまいます。
しかし、敷地の間隔が狭い場合には敷地の間でシンナー成分が空気中に留まってしまいます。
するとお隣の室内にもニオイが入ってしまうでしょう。
風通しが良い環境と、そうでない場合にはニオイの影響がだいぶ違うと言えます。
一般的には知られていない油性塗料のニオイの特徴
油性塗料で外壁塗装をする時に出るニオイに関する事で、あまり知られていない影響や特徴には以下のようなことがあります。
外を塗ってもニオイは室内に入る
油性塗料を塗る時にいつも皆さんがおっしゃる事が「窓を開けないから大丈夫、臭わないよ」ということ。
ところが不思議と窓をいくら閉めていてもニオイは室内に入ってきます。
そして、塗装工事中はなかなか換気が出来ない状況です。
塗装中は窓を開けようと思っても、ビニールシートで塞がれているので換気がしにくくなっています。
また、換気しようと換気扇を回す場合に、タイミングによっては外から取り入れた空気にシンナーが含まれていると、余計に臭くなってしまう場合もあります・・・。
ニオイは1階に溜まるので注意する
気体になったシンナーを含んだ空気はその他の空気より重いという特徴があります。
この特徴による影響で、室内に入ったニオイは2階より1階で強く感じられます。
また、壁の外側でも1階廻りにシンナーを含んだ空気が滞留しているため、2階の方が澄んだ換気との換気が早く行えます。
ニオイに注意したい家の廻りの環境
ニオイが気になってしまうケースはどの家でも均一ではありません。
下記のような家の周りの環境の場合には少し注意が必要で、もしかしたら油性の塗料は控えた方が良いのかもしれません。
- 家の敷地が奥まった旗竿地で、風通しが悪い
- 東西南北の各近隣との敷地が狭く、風通しが悪い
- 近隣含め3階建て以上の建物に囲まれていて、1階部分の風通しが悪い
- アパートや賃貸物件・お店・自宅の仕事場が1階にある
ニオイに注意したい室内の環境
家の外側で無く室内の環境でも注意しておきたいポイントがあります。
- 二世帯住宅で1階の世帯(外壁塗装中は2階で就寝するなどを検討する必要がある)
- ペットのケージが1階にある場合(人は1m以上の高さに鼻があるが、ペットは低い位置で呼吸しているため)
- ベビーベッドが1階にある
- 寝室が1階にある
出来るだけ2階以上で就寝することが出来れば、あらかじめ考慮しておいた方が良いでしょう。
シンナーのニオイでペットへの影響はある?
上記ではペットの件に触れましたが、実際にはペットの具合が悪くなったり、ぐったりしてしまったといったケースは今のところ花まるリフォームではありません。
だから大丈夫とは言えませんが一つ誤解があるとすれば、動物の鼻が利く・ニオイに敏感というのは人間に比べて何倍も強くニオイの刺激を感じてしまうのとは違うという事のようです。
ただ、ペットの方が身体が小さい分影響を受けやすいでしょうし、「臭くて耐えられない」と伝えるのも難しいでしょうから、念のため体調管理には気を付けてあげて下さい。
外壁塗装とニオイの一般的な解決策
外壁塗装とニオイの問題で一般的な解決策とされているのは下記のような部分です。
外壁の塗料は水性塗料を使う
ニオイを避けるために一番良い方法は、ニオイのしない水性塗料を塗る事です。
特に外壁用の塗料に限っては水性塗料で対応が出来る場合がほとんどですので、わざわざニオイのする油性塗料を選ぶ必要は無いのかもしれません。(ただし、全ての条件で水性塗料が対応できるとは限りません)
※その他の部分(屋根・細部)に関しては水性はあまりお勧めできません。(下記に書きます)
換気をする
油性塗料を塗る場合にはニオイがこもりがちなので、十分換気を行うことです。
その際には、空気の入り口を2階や3階、天窓等から入れて、1階に換気扇があればそこから排気出来れば良いでしょう。
扇風機やサーキュレーターで強制換気が出来れば良いアイデアですが、かえってニオイを撒き散らす可能性もあるので注意が必要です。
※ 空気清浄機ではニオイは取れない(2018年現在)
空気清浄機は名前からするとニオイも取ってくれそうですが、残念ながら塗料のニオイを無臭化する事は出来ないようです。
油性塗料を塗る時のニオイの、本当の解決策
さて、最後まで引っ張ってしまいましたが、油性塗料とニオイへの解決策です。
まずはニオイのある油性塗料とニオイの無い水性塗料の違い
油性塗料の方が品質は確実に良い。しかしニオイの問題がクリヤーできなければ水性にするのがオススメ。
まずは、油性塗料への品質面での魅力がどの程度なのか?が問題になります。
- 「ニオイが多少しても我慢できる」ので油性塗料を塗りたい。
- 「ニオイがしたら嫌」なので、油性塗料じゃなくて良い。
このどちらかの決断で、油性塗料がオススメか、水性塗料がオススメかが決まります。
油性塗料のニオイが「我慢出来ない」のは心構えが出来ているかどうか?がポイント。
油性塗料が我慢出来ないのは、ニオイにびっくりしてしまうからです。
事前に上記のような選択肢があり、自分で決断したのにニオイがしてびっくりする方はいません。
つまり、塗料選びの時点で、ちゃんと業者が確認しているか?お客様に選んでもらっているか?
それが重要になるわけです。
後悔の無い塗料選びの方法
良く効く薬が苦いのと同じように、性能の良い塗料(油性)にはニオイがあります。
インスタント食品やレトルト食品が手間暇を掛けた手料理には及ばないのにも似ているでしょうか?
いくらメーカーが「油性も水性も性能は同じです」と言っても、それは建前の話…。
もしも性能が同じなら油性塗料の新商品が出るのはおかしい事です。
また、全ての塗料が水性になっている筈ですが、そうなっていません…。
つまり油性塗料が現在も塗料メーカーのラインナップに有ること自体が「実は油性塗料の方が(塗料としての)性能は良い」と言う事を証明しています。
そして、そこからスタートして…
- ニオイが苦みが有っても、性能が良い塗料や薬を選ぶのか?
- ニオイや苦みが少ないので、性能はやや劣る塗料や薬を選ぶのか?
それを理解して選ぶ事で、後悔の無い塗料選びが出来るのです。
油性塗料のニオイは回避出来る配慮ができる業者に頼めば軽減出来る
油性塗料のニオイはおおむね「心構え」があれば乗り越えられます。
ただ、さらに言うと業者(職人)のサポートがあれば、より軽減出来る場合もあります。
業者側の努力で出来ることは、窓閉め切りになってしまう期間を出来るだけ短くすることです。
どのような工夫が考えられるかと言うと…
- リビング等ポイントとなる窓は完全に塞がずに、一部でも穴開き状態にしておき窓を開ければ風が通るような養生ビニールの貼り方をする
- 風を通したい時は「窓を開けて養生ビニールを破って良い」という事をあらかじめ伝えておく
- 塗る面を2面づつ半分に分けて、家中を完全密封しないように塗る
戸建住宅の外壁塗装を手掛けていれば、この程度の配慮は通常思い付くものです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は外壁塗装で油性塗料を塗る時の注意点や心構え・ニオイの回避方法をお伝えしました。
10年に1度の外壁塗装ですから、納得した塗料選びをしたい場合には水性塗料だけでなく油性塗料も一度は検討してみてはいかがでしょうか。
意外と「心構え」さえあれば「思った程ニオイは気にならなかった」といった工事中の感想の方が多いものです。
この記事を読んで「外壁を油性塗料で塗ろうと思っていたけれど、ニオイが心配で水性塗料にしようかな…」と思っていらっしゃった方の心配が軽減されて「…じゃあ油性塗料で塗ってみよう!」と思って頂いた結果が、『本当に大丈夫だった‼」というようになったら嬉しいです。
油性塗料で外壁塗装をされた方の「お客様の声」と「施工事例」
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投稿者プロフィール
- 花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。
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