2液型塗料のメリット・デメリット
外壁塗装で扱う塗料を業者が選ぶ時にこだわるポイントはいくつかあります。
その中で「1液型塗料を使うか・2液型塗料を使うか」というのも大事な判断のポイントになる部分です。
(下請け業者任せであれば塗料に1液型や2液型がある事も知らない場合もあリますが…)
単純に優れた塗料としては確実に2液型塗料に軍配が上がりますが、2液型塗料には手抜きや失敗の原因になってしまう事もあります。
今回はそんな2液型塗料の特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
2型塗料とは?
2型塗料とは、塗料を塗る直前に2つの塗料液を指定の割合で混ぜて塗る塗料の事です。
2つの塗料は主に【主材・硬化剤】と呼ばれたり【A液・B液】と呼ばれるセットになっています。
2液型に対して一般的な塗料は1液型です。
当然1つの缶や容器に入っています。
2液型は2つの塗料を配合した後で1液型塗料と同様に、水やシンナーで濃さを適量調整して塗ります。
2液型塗料の【主材】と【硬化剤】のセット例
2液型塗料は一般住宅の塗替えで使う塗料の中では、外壁に塗る塗料や、鉄部その他に塗る油性系(弱溶剤)で使われています。
水性塗料にはごく一部にしか採用されていません。
2液型塗料の容器は下記の写真例のように大きな【主材】に小さな【硬化剤】といったセットが多いです。
大きな主材の缶の中に小さな硬化剤の缶の中身が全部入れられるような量のセットになっています。
(2液を混ると丁度1液型の塗料の1缶分と同じになる)
2液型 外壁用ウレタン塗料 クリーンマイルドウレタン 主材13.5㎏:硬化剤1.5㎏ |
2液型 屋根用ウレタン塗料 ヤネフレッシュ 主材14㎏:硬化剤2㎏ |
2液型 多目的溶剤シーラー マイルドシーラーEPO 主材10.5㎏:硬化剤3.5㎏ |
各種二液型塗料。 缶の形や容量もバリエーションが豊富 |
2液型塗料を正しく使えない?…「職人の問題点」
2液型塗料は2種類の塗料を塗る前に混ぜてから塗ります。
2つの缶から適切な分量を使う為には、いちいち主材と硬化剤の重さを正しく量ってらなければなりません。
そのため、二液型塗料には「正しく使わない職人がいる」という問題点があります・・・
つまり、「塗る手抜き」では無く、「正しく混ぜる手抜き」が起きるのです。
2液型塗料の「職人」の問題点① 2つの液を混ぜない職人がいる!?
2液型の材料というのは塗料以外にも沢山あります。
わざわざ2つの材料に分かれている理由は主に、使う直前に混ぜないと固まってしまうからです。
そして一般的な2液型の材料は、正しい分量で混ぜないと「材料がいつまでたっても固まらない」という困った事になります。
しかしこれが困った事に…2液型の塗料の場合は主材だけで塗ってもきちんと固まってしまうのです。
(現在主に住宅で塗装に使う2液型の塗料の場合)
そして、職人ならその事は分かっているので、有り得ない事ですが主材だけで塗ってしまう職人がいます。
(つまり、硬化剤を一切入れなのです!)
硬化剤を入れない理由は主に2つです。
- 硬化剤を忘れてしまった
- めんどくさい
どちらにしても言語道断ですが、これでは全く2液型塗料を使う意味が有りません。
2液型塗料「職人」の問題点② きちんと分量を計らない職人が多い!
上記の主材だけで塗ってしまう職人はいくら何でも酷すぎますが、2つの缶から適切な分量を使う為にはいちいち重さを量ってらなければなりません。
しかし、主材と硬化剤の重さを「きちんと量って混ぜる職人は少ない」のが現状です。
確かに主剤と硬化剤は混ぜるのですが「手抜き」あるいは「不精な」職人の場合、きちんと主材:硬化剤の比率を計算し、その分量を量って混ぜないのです。
だいたいの目分量で硬化剤を入れる場合が多い!
適切な重量比で混ざっていない塗料は「正しい用量・用法を守って使用している」とは言えません。
当然、性能や寿命の低下に繋がります。
エスケー化研のクリーンマイルドシリース゛の硬化剤の上部に印刷された注意書き。
きちんと計量して混ぜる職人がいない事が多いので、丁寧に混合比も書いあります。
2液型塗料は使いづらい?…「塗料メーカー」の問題点
2液型塗料の問題点① 主材:硬化剤の混合比が塗料によってバラバラ…
2液型塗料の主材と硬化剤は、おおむね【主材】の方が分量が多く一斗缶に入っています。
小さい缶に入っているのは【硬化剤】です。
この主剤と硬化剤がセットで1つの塗料になるのですが、下記の例を見て頂くと分かるように、各塗料によって【主材】と【硬化剤】の配分や1セットの量がまちまちなのです。
各塗料ごとに最適な性能を引き出すため…とは言え、扱うユーザーとしての職人側から言わせて貰えれば、やはり分かり辛いと言えます。
そうなると、いい加減な配合分量で材料を混ぜる職人が出てしまうのは仕方が無い気もしてきます。
(絶対いけないのですが…)
2液型塗料の問題点② 混合比計算が面倒で間違えやすい…
14:2の比率ならまだ簡単です。
半分なら7kg:1㎏、4分の1なら3.5㎏:0.5㎏とまだ割り切りやすいです。
しかし、9:1の塗料の場合だと簡単ではありません。
一斗缶で13.5:1.5ですから、半分なら6.75kg:.075㎏・4分の1なら3.38㎏:0.38㎏と・・・
少量使う場合の重量計算が面倒なのです。
2液型塗料の問題点③ 硬化剤の缶の大きさもバラバラ…
各種二液型塗料の硬化剤。
缶の形や容量もバリエーションが多い。
2液型塗料の1液タイプが登場!?
2液塗料なのに適切に混合しない不具合が多発したからなのか、「いちいち混ぜてられないヨ」という職人市場からの要望に応えてなのか?・・・しばらくするとファインウレタンに1液タイプが登場しました。
メーカーの話では「主剤と硬化剤が缶の中で混ざらないように入っていて、塗る時に混ざるようになっている・・・?」との事です。
2液タイプと同等の性能で、わざわざ混ぜなくて良くなったのであれば素晴らしい話ですが、残念ながらそうではありません。
確かに従来の1液型合成樹脂アクリル塗料(いわゆる油性ペンキ)よりはマシなのですが、使い勝手が良くなっった一方で、性能は半減、といったところです。
こちらが1液ファインウレタンU-100 改良されて、発売当初と比較すると性能は向上しているようですが、まだまだ2液型が廃止されるには至っていません。 現状は、会社や職人の姿勢で2液タイプを使うか1液を使うかに分かれているようです。 |
2液型塗料と1液型塗料とではここが違う!
では、2液型塗料のメリットから整理してみましょう。
塗料の寿命(耐候性・耐久性)が長い!
寿命は2液型塗料の方が1.3倍程度長持ちする感覚です。
正直、1液型の塗料は半分くらいの寿命しか無いのでは?とも思っています。
ですから、花まるリフォームでは怖くて外壁に塗った事は1度もありません。
確実に化学反応を起こす事が出来る!
設計思想通りに、きちんと2つの液を分けて、塗る直前に化学反応を起こさせる事で、確実に塗料の化学反応を起こさせることが出来ます。
固まり方がイイ感じ!
塗料が固まるまでの時間がシビアになる事にも繋がりますが、おおむね12時間後には見事にゼリー状になってしまいます。
塗料の価格
塗料の仕入れ価格は、2液型塗料の方が1割程度高い感じです。
その程度の塗料の価格差であれば、その他の要素の違いを気にした方が良い程度です。
密着力が強い!①手に付いたら落ちない・・・
密着力が強い!②色々なものに塗れるようになった!
艶がしっとりして綺麗
塗膜が硬い
刷毛目が出ない
塗りやすい
2液型塗料のデメリット
では、2液型塗料にデメリットも挙げてみましょう。
面倒くさい(主材と硬化剤をキチンと量って混ぜなければいけない)
- 主材と硬化剤をきちんと量らない職人がいる
- 硬化剤を入れない職人がいる
主材と硬化剤を混ぜたら翌日には使えなくなる(固まっててしまう)
刷毛が使い捨てになる
まとめ
いかがでしょうか?
まとめると、1液型塗料を使っている職人は「面倒くさがりの手抜き職人」と言えます。
通り掛かりの塗装現場で1液型塗料を使っているのを見かけると、正直ガッカリします…。
主材・硬化剤を量る手を抜かないで、真面目に良い材料を使って欲しいものです。
外壁塗装の見積りを比較するなら、細部塗装の塗料が1液型か2液型かで判断するのも良い方法かもしれません。
投稿者プロフィール
- 花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。
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