水性セラミシリコンとはどんな塗料?

水性セラミシリコンのカタログデータを解説

外壁塗装の塗料選びでエスケー化研の水性セラミシリコンを検討されている方は多いと思いますが、どのような塗料なのかとエスケー化研のホームページ水性セラミシリコンのカタログを見ても良く分からないかもしれません。

実は塗料メーカーがカタログを作る時に誰に向けて作っているのかと言うと、お施主様である皆様だけではなく半分は施工業者や職人に向けて作ってあります。

ですから専門用語や工事の方法の記載部分も多くなっているのです。

 

そこでここでは、水性セラミシリコンとはどんな特徴や性能があるのかをメーカーカタログの中から分かりやすくまとめてみました。カタログに何が書いてあるのかは分かるようになると思いますので参考になさってみて下さい。

1. 水性セラミシリコンとはどんな塗料なのか?

水性セラミシリコン 水性セラミシリコンは、超耐久性コーティング材として注目されているシリコン系樹脂にセラミック成分を複合化したセラミックシリコン樹脂をバインダーとしているため、シロキサン結合による強靱な架橋塗膜を形成します。従来の水性塗料と比べ格段に優れた耐久性と低汚染機能により、長期に亘って壁面を美しく維持することができます。
弾性タイプには水性弾性セラミシリコンがあります。

1-1. 水性セラミシリコンの特徴

  • 超耐久性
    シロキサン結合を持つ架橋塗膜は、紫外線、湿気などのポリマー劣化要因に対し、優れた耐水・耐アルカリ性、化学抵抗性を示し、建物を長期に亘り保護します。
  • 優れた低汚染性
    緻密な架橋塗膜は、大気中の粉塵や排気ガスを寄せ付けず、優れた低汚染性を発揮します。
  • 防かび・防藻性
    特殊設計により、長期に亘ってかびや藻類などの微生物汚染を防ぎ、衛生的な環境を維持できます。
  • 安全設計
    水性であるため、溶剤中毒や火災の心配もなく、作業環境の向上に役立ちます。
  • 資産価値の向上
    従来のアクリル樹脂系塗料や、ポリウレタン樹脂系塗料に比べて耐久性が高いため、長期メンテナンスサイクルを含めたライフサイクルコストが低く、資産価値の向上と大きなコストメリットを生みます。
  • 安定した品質
    一液形のため、調合が不要で、常に安定した品質が確保できます。
  • 防水性(水性弾性セラミシリコン)
    主材に弾性系の材料を使用する場合、躯体のひび割れに対 し、優れた追従性を示し、雨水の浸入を防ぎます。

 

1-2. 水性セラミシリコンの概要

  • 一般名称
    超耐久低汚染型一液水性セラミックシリコン樹脂塗料
  • 規格
    JIS A 6909 建築用仕上塗材耐候形1種 ※艶有りが対象
  • 防火材認定
    無し
  • ホルムアルデヒド放散等級
    F☆☆☆☆
  • 主要構成成分
    セラミックシリコン樹脂
  • 荷姿
    16kg缶(一斗缶)
    4kg缶
  • 標準塗坪
    45~64m2(16kg缶)
    11~16m2( 4kg缶)
  • ※ 標準塗坪は、一般的なものであり、下地の状態や環境などによる所要量の増減に応じて変わることがあります。
  • 設計価格
    1,900円/m2 (複層塗材の上塗りに用いる場合)
    ※ 設計価格は、300m2以上を基準とする材工共の価格であり、下地調整費は含んでおりません。また、地域により多少異なります。
  • 艶の種類
    艶有り、半艶、3分艶、艶消し
  • 希釈
    清水
  • 期待耐用年数
    12~15年
    ※ 期待耐用年数は、次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考え下さい。

 

1-3. 主な塗装箇所・用途

  • 戸建て住宅の内外装
  • マンションの内外装
  • 店舗、事務所、工場、倉庫などの内外装
  • 学校など公共施設の内外装

 

1-4. 適用する下地の種類

  • セメントモルタル
  • 各種サイディングボード
  • コンクリート
  • PC部材(軽量PCは除く)
  • ALCパネル
  • スレート板
  • 各種旧塗膜(活膜)など

 

2. 水性セラミシリコンの性能

 

2-1. 促進耐候性試験結果(キセノンランプ)

水性セラミシリコン(艶有り)は、JIS A 6909建築用仕上塗材 耐候形1種を取得しています。
耐候形1種とは、JIS A 6909 建築用仕上塗材で分類されている耐候形の最高ランクで、1種~3種の分類があり、1種に合格するには、促進耐候性試験において、2500時間経過後、つや保持率が80%であることが必要です。

セラミシリコン促進耐候性試験結果(キセノンランプ)

セラミシリコン促進耐候性試験結果(キセノンランプ)

水性セラミシリコン(艶有り)は促進耐候性試験の結果、照射時間2,500時間では光沢保持率85%を超え、4,000時間でも光沢保持率は80%を超えています。

 

2-2. 促進耐汚染性試験結果1

促進耐汚染性試験結果(カーボン水溶液浸漬試験:社内法)

促進耐汚染性試験結果(カーボン水溶液浸漬試験:社内法)

水性セラミシリコン・水性弾性セラミシリコンは、エスケー化研社内法によるカーボン水溶液浸漬試験において、汎用つや有合成樹脂エマルションペイントよりも汚れにくいと言う結果が出ています。

2-3. 促進耐汚染性試験結果2

促進耐汚染性試験結果(雨筋汚染試験:社内法)

促進耐汚染性試験結果(雨筋汚染試験:社内法)

水性セラミシリコンは、エスケー化研社内法による雨筋汚染試験にて、汎用つや有合成樹脂エマルションペイントよりも汚れにくい結果が出ています。

 

2-4. 耐微生物性試験結果

耐微生物性試験結果

耐微生物性試験結果

水性セラミシリコン・水性弾性セラミシリコンは、防かび性試験と防藻性試験において、どちらも汎用つや有合成樹脂エマルションペイントよりも微生物に対する抵抗性が優れている結果を示しています。

2-5. 性能試験結果表

水性セラミシリコン(艶有り)のJIS K 5660 つや有合成樹脂エマルションペイントによる物性試験結果は以下の通りの結果です。

試験項目 試験結果 品質
水性
セラミシリコン
水性弾性
セラミシリコン
容器の中の状態 合格 合格 硬い塊がなくて一様になる。
低温安定性(-5℃) 合格 合格 変質しない。
塗装作業性 合格 合格 支障がない。
表面乾燥性(常温乾燥) 合格 合格 2時間以内で表面乾燥する。
常温乾燥(低温乾燥) 合格 合格 4時間以内で表面乾燥する。
塗膜の外観 合格 合格 正常である。
隠ぺい率%(白色及び淡彩色) 97 97 95 以上
鏡面光沢度(60度) 82 82 70 以上
耐水性 合格 合格 異常がない。
耐アルカリ性 合格 合格 異常がない。
耐洗浄性 合格 合格 洗浄に耐える。
耐湿潤冷熱繰返し性 合格 合格 湿潤冷熱繰返しに耐える。
屋外暴露耐候性 合格 合格 光沢保持率が60%以上、白亜化の等級は1又は0で、色の変化の程度が見本品に比べて差がない。
促進耐候性 合格 合格 白亜化の等級は2、1又は0で、割れ・はがれ・膨れ及び穴がなく、色とつやとの変化の程度が見本品に比べて差がない。

 

3. 水性セラミシリコンの工事の仕様

 

3-1. 各塗料共通の下地調整工事

セメント系の下地調整塗材(ミラクファンドKC-1000:粉体) セメント系の下地調整塗材(ミラクファンドKC-1000:粉体)[/caption] ミラクファンドKC-1000(混和液) ミラクファンドKC-1000(混和液)

・旧塗膜に脆弱層がある場合は、サンダー及び皮スキ、ケレン棒等を用いて除去し、ミラクファンドKC-1000 で段差修正後、パターンの復元を行う。

・セメント系の下地調整塗材(ミラクファンドKC-1000、ミラクファンドKC-2000、ミラクファンドKC-3000 など)を用いる場合は、下地調整後、水性ミラクシーラーエコなどの下塗材を塗付する。

・高圧水洗(5 ~15MPa = 50 ~ 150kgf/cm2)にて旧塗膜に付着している塵、ほこり、汚れ等を除去する。

 

3-2. 水性セラミシリコンを塗る前の【下塗り塗料の仕様】

既存下地の種類により適切な下塗り塗料の選定をすることが重要です。

商品名 溶剤 容量(Kg) 1平米分の
塗布量
(kg/平米)
塗回数 1缶当たりの
塗装面積
(平米)
水性ソフトサーフSG 清水 16kg 0.8~1.5 厚付け
2回
10~20
0.5~1.0 薄付け
1回
16~32
水性ミラクシーラーエコ
(クリヤー・ホワイト)
清水 15kg 0.15~0.2 1回 70~100
水性SDサーフエポ
プレミアム
清水 15kg 0.2~0.4 1回 38~83

 

3-3. 水性セラミシリコンの仕様【中塗り・上塗りの仕様】

水性セラミシリコンの塗装

水性セラミシリコンの塗装

商品名 溶剤 容量
(Kg)
1平米分の
塗布量
(kg/平米)
塗回数 1缶当りの
塗装面積
(平米)
水性セラミシリコン 清水 16kg 0.25~0.35 2回 46~64

 

3-4. 新築・部分補修時のパターン付けで使う材料と仕様

新築や部分改修を行った時には、外壁にパターンを付ける所から始めます。
パターン付けは主に吹き付け工事で模様を付けます。
上記の下地調整と適宜下塗りを行った後で下記の材料を使い吹き付けを行います。

パターンは材料の希釈率や吹き付けガンの仕様により、様々な風合いをつくる事が出来ます。

商品名 溶剤 容量
(Kg)
1平米分の
塗布量
(kg/平米)
塗回数 1缶当たり
塗装面積
(平米)
レナラック主材 清水 20kg 0.15~0.2 1回 11~15m2
レナフレンド主材 清水 20kg 0.2~0.4 1回 7~9m2
レナフレンド
ローラー用主材
20kg 0.15~0.2 1回 8~10m2

 

4. 水性セラミシリコンの施工上の注意点

 

4-1. 新築工事の素地調整・下地調整

  • 新築時のモルタル下地はよく乾燥させ、含水率10%以下、pH10 以下とする。
  • 下地の付着物は完全に除去し、傷、不陸、目違いなどは補修調整をする。
  • ALC面、多孔質下地、粗面、その他下地に問題がある場合には、カケンフィラー(粉体20kg袋、混和液10kg石油缶)、ミラクファンドKC-1000(粉体20kg袋、混和液5kgポリ容器)などにて下地調整を行う。
    ミラクファンドKC-1000(施工要領)

    ミラクファンドKC-1000(施工要領)

 

4-2. 塗り替え工事の下地調整

  • 改装工事には、状況に応じてミラクファンド各種などを使用して調整する。
  • 旧塗膜に脆弱層がある場合は、サンダー及び皮スキ、ケレン棒等を用いて除去し、ミラクファンドKC-1000 で段差修正後、パターンの復元を行う
  • セメント系の下地調整塗材(ミラクファンドKC-1000、ミラクファンドKC-2000、ミラクファンドKC-3000 など)を用いる場合は、下地調整後、 水性ミラクシーラーエコなどの下塗材を塗付する。
  • 高圧水洗(5 ~15MPa = 50 ~ 150kgf/cm2)にて旧塗膜に付着している塵、ほこり、汚れ等を除去する。高圧洗浄

4-3. 下塗りの注意点

4-3-1. 下塗り材の選定

・下記下地への施工については、適宜適切な下塗り材の選定を行う。

    • 吸い込みが大きい下地
    • 部分的に下地調整を行った面が他の面と比べ著しい吸い込み差を生じる下地
    • 改装下地

・下塗りには状況に応じて下記塗料を使う

    • 水性ミラクシーラーエコクリヤー(15kg石油缶)
    • 水性ミラクシーラーエコホワイト(15kg石油缶)
    • ミラクシーラーES(15kg石油缶)
    • 一液マイルドシーラーES(14kg石油缶)

・押出成形セメント板、GRC板、PC部材(軽量PCは除く)などには、下塗材としてマイルドシーラーEPO(14kgセット)を使う。

水性ミラクシーラーエコクリヤー(15kg石油缶)

水性ミラクシーラーエコクリヤー(15kg石油缶)

4-3-2. 下塗りに使う道具と仕様

    • ローラー:中毛(13mm~25mm)
    • 刷毛エアレススプレーガン:吐出量:600 ~1000m /分・パターン幅:25 ~ 30cm>
ローラーで塗る

ローラーで塗る

4-4. 中塗り・上塗りの注意点

  • 中塗り・上塗り後、塗膜が乾燥するまでの時間内に降雨などにより、塗膜表面が長時間、水分がかかった状態になると、所定の低汚染機能が発揮されない場合があるので、所定の乾燥時間(最終養生時間)を厳守する。
  • 乾燥過程で降雨などが予想される場合は上塗り施工は行わない。
  • 天候が怪しい場合は、シート養生を行うなどして塗膜表面に雨が当たらないようにする。
  • 上塗材はむらなく均一に塗付する。
  • 低汚染機能を発揮するためには、塗付量の確保が重要な事項なので、特に凹部に塗り残しができないよう注意する。

 

4-5. その他・注意事項

4-5-1. 下地について

  • 弾性系塗材や複層仕上塗材の仕様で軽量モルタル、ALCパネル、高断熱型窯業系サイディング及び発泡ウレタンなどを用いた高断熱型外壁に塗装する場合は、蓄熱や水の影響、下地の状態、塗装時の環境など、いくつかの条件が重なることで、パネルの変形や塗膜のふくれ、はがれなどを生じることがあるので充分注意する。
  • 陶磁器タイル洗浄用の酸が塗装面に付着すると、変色や溶解などの異常を生じることがあるので、予め塗装面の養生を行う。
  • シーリング材の上に塗装する場合は、可塑剤を含まないノンブリードシーリングを使う。
  • 間隙が広いなど大きな動きが予想されるシーリング打設部への塗装は、塗膜がひび割れる可能性があるのでなるべく避ける。
  • 改装工事に溶剤形の下塗材をご使用の場合は、溶剤などの影響により旧塗膜を侵し・膨れ・ちぢみなどの異常が発生することがあるので、試し塗りにより確認の上、本施工に入る。
  • 防藻、防かび性は繁殖の抑制の効果を示すもので、すでにかびや藻が付着している場合は「SKKカビ除去剤#5(塩素系)」にて拭き取るなど、適切な下地処理をしてから塗装をする。

 

4-5-2. 天候条件に付いて

  • 強風時、または降雨、降雪のおそれがある場合及び気温5℃以下、湿度85%以上での施工は原則的に避ける
  • 気温5℃以下で施工が要求される場合は、採暖及び採暖のための養生により、雰囲気温度、被塗面温度を5℃以上にする。
  • 冬期においては、施工条件が特に厳しくなる場合があるため、事前に関係者と十分な打ち合わせを行う。
  • 著しく結露が生じるような場所での使用は、塗膜の膨れ・はく離・白化・しみの発生につながる場合があるので施工を避ける。
  • 低温又は高湿度時には、乾燥が遅くなるので注意する

 

4-5-3. 塗料の管理について

  • 材料は使用前に内容物が均一になるように十分に撹拌し、開栓後は速やかに一度に使い切る。また材料を保管する場合は、無希釈の材料をしっかりと密栓してから直射日光を避けた冷暗所にて保管し、できるだけ早めに使い切る。

 

4-5-4. 塗装方法について

  • 所要量は被塗物の形状、素地の状態、塗装方法、気象条件、希釈率等の各種条件により増減するので、適宜調整を行う。
  • 塗り重ね時間は環境(温度、湿度、換気、風通しやすさ)や膜厚によって変わります。
  • 補修塗りの際、仕上がり肌の違いにより、若干の色相差を生じる場合があるので、部分的に仕上がり性を確認した上で希釈量等を決定する。
  • 刷毛で補修塗りを行う際、スプレー塗りやローラー塗りと仕上がり肌の違いによる若干の色相差を生じることがあるので注意して施工する。

 

4-5-5. 色・艶・ムラ・仕上がりについて

  • 艶調整品(艶有り以外の半艶、3分艶、艶消しなど)は、被塗物の形状、膜厚や色相、塗回数、希釈率の差などにより、実際のつやと若干異なって見える場合がある。
  • 刷毛・ローラー塗装時に塗継ぎ箇所で艶ムラを生じやすい傾向があるので、試し塗りの上本施工に入る。
  • 補修塗りの際、仕上がり肌の違いにより、色目に若干の差を生じる場合がありますので、部分的に仕上がり性を確認した上で希釈量等を決定する。
  • 濃色や原色に近い色彩は、塗膜を強く擦ると色落ちすることがある
  • 衣類などが触れる可能性のある部位への施工は避ける。
  • 上塗りにイエロー、レッド、ブルー、グリーン系など彩度の高い色目を塗装する場合は、隠ぺい性を高めるため、予め隠ぺい性の良い共色を塗装する。

 

5. まとめ

 

いかがでしたか?

今回は水性セラミシリコンのカタログデータを中心に

  1. 水性セラミシリコンとはどんな塗料なのか?
  2. 水性セラミシリコンの性能
  3. 水性セラミシリコンの工事仕様
  4. .水性セラミシリコンの施工上の注意点

についてまとめました。

塗料のカタログも、見かた読み方が分かればとても多くの情報が記載されているのが分かって頂けたのではないでしょうか。

ここでは、メーカーのカタログに記載してある情報を載せてありますが、花まるリフォームからの視点や評価は水性セラミシリコンの紹介をご覧ください。

 

6. 水性セラミシリコンの施工事例

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投稿者プロフィール

高橋 良一
花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。