外壁3回塗りの基本とポイント:手抜きの手口も解説!
外壁塗装を依頼するときに「3回塗る」と言うのは聞いたことがあるかと思います。
ただ、よくある業者の見積りにには、3回塗るかどうかが明瞭でなく何度塗るか判断出来ないように記載してある物もあります。
そもそも「3回塗り」という表現に曖昧な部分があるので、何が曖昧なのかも含めて解説していきたいと思います。
- 3度塗りが基本の場所
- 3度塗りで塗る塗料と見積りに書いてある意味の読み取り方
- 3度塗りの基本以外に大切な事
- 手抜き業者の言い訳
- 外壁塗装の3回塗りの意味や役割を知りたい方
- 外壁塗装の見積りを取ったけれど、何度塗りか良く分からないので困っている方
- 手抜き業者には、絶対頼みたくない方
3回塗りが【基本】な塗装場所は外壁と屋根
塗装の工程で3回塗りと言えば、1工程ずつ乾燥させて塗り重ねた塗装の回数を指します。
外壁や屋根の塗装は3回塗りの工程が基本なので「3回塗り」と言う表記を目にすることが多いです。
一方、木部・鉄部などの細部塗装に関しては2回塗りが基本となります。
3回塗りの各工程の役割
下塗り:フィラーやプライマーなど、それぞれの下地や塗装工程に合った下塗材を塗る
中塗り:各下地と仕上げの目的に合った塗料(トップコート)を塗る(1回目)
上塗り:上記仕上げの塗料をもう一度塗る(2回目)
3回塗りの表記の方法
Aパターン
- 1回目:下塗り
- 2回目:中塗り
- 3回目:上塗り
一般的に3回塗りの各工程の呼び名は以下のようになります。
このような表記であれば「3回塗り」と言うのが分かりやすい。
Bパターン
- 1回目:下塗り
- 2回目+3回目:上塗り
しかしメーカーのカタログなどにはこのような「上塗り×2回」といった表記もあり、「3回塗り」と言う事が分かりにくい場合もあります。
Cパターン
- 「外壁塗装一式」と書いてあるが、備考欄などに「シーラー+上塗り2回」などと書いてる場合
塗り回数の【応用】
【基本】があると言う事は、【応用】もあり、下地の劣化状況や仕上げに必要な工程回数によっては、適切な塗り回数に変更する必要があります。
2回塗りをする場合
例えば、工期短縮のためや、その場所で工事が出来る期間が限られている場合などでは、手抜きでは無く3回塗りを2回塗りで済ます事もあります。
その場合は、2回塗り用の特殊な塗料を使い、見積り書にも明記し、依頼者・施工者の合意の元に工事を行います。
4回以上塗る場合
また、劣化した下地やヒビ割れた下地などでは、3回では足りない場合もあります。
そのような場合は4回・5回・6回…と、塗る回数が増えて行きます。
「4回塗りが標準」という「ちょっとしたウソをつく業者」に注意
たまに「3回塗りじゃなく、ウチの会社は4回塗りが基本です!」という塗装業者の看板を見かける事があります。
3回より4回塗った方が丁寧だ、という事をアピールしたいのでしょうが…これはあまり意味がありません。
4回塗りの意味は以下の工程のようです
- シーラー(下塗り1回目)
- サーフェーサー(下塗り2回目)
- 中塗り
- 上塗り
このように、1回目と2回目の「下塗り」を2回行うと言うものです。
ただし、下地によっては下塗りの部分を厚く塗るとかえって塗料が剥がれる原因になる場合もあり、4回塗りを基本にされては困ることもあります。
特にサイディング外壁の場合は厚塗りが適しませんので、適切に薄く塗る事が必要になります。
塗り回数と共に大切な2つのこと
意外と大切な塗料の乾燥期間
上記のような特別な工程短縮を除き、よくある不適切な工事の傾向として【乾燥期間の無視】があります。
どのような場合でも、1回塗り終わってすぐに次の塗り工程に移ってはいけません。
塗料には「塗り重ね乾燥期間」が設定されているからです。
この乾燥時間を守らないで次の塗り工程に進んでしまえば、正しい塗り回数を行ったとは言えません。
もちろん数年後に「剥がれ」や「寿命の低下」・「ヒビ割れ」等の不具合の原因となってしまいます。
正しい塗り回数は、正しい乾燥期間を守ることも重要なのです。
希釈率は当然重要
希釈率は塗り回数と共に最も守られていなければならない部分です。
何回塗っても塗料が薄まっていたのでは意味が無いのは言うまでもありませんね。
希釈率と塗り回数の話題でいうと、何かの事情で塗り回数を減らさなけばならない時に「無希釈で塗るから塗り回数を減らしても大丈夫」という言い訳で手抜きを行う場合もあります。
当然そんな理屈は通る筈も無くNGです。
手抜きの方法
手抜きを見破るのが難しい理由
「3回塗り」に関する手抜きについて、手抜き業者はバレるようなヘマはしません。
塗っている近くに行くとペンキだらけになってしまうので、現行犯で確認が出来ない為です。
現行犯でないと、色が付いていれば何回塗ったか?を確認する方法は、まず有りません。
もしも下地が透けて見えていたら、かなり手抜きの疑惑が強いです。
しかし「絶対3回塗りました!」と言い切られてしまえば、2回しか(1回しか)塗っていないという証明は出来ないのです。
一般的な手抜きの手口
上記の理由から、今からお伝えする手抜きの手口を知ってもあまり役立たないかもしれませんが、念のため豆知識的にお伝えしておきます。
- 3回塗りのうち1回目の下塗りを塗らない
- 3回塗りのうち3回目の上塗りを塗らない
- 窓廻りや隅の刷毛で塗る部分を1回しか塗らない
- 玄関から奥の見えない面の塗り回数を減らす
- 劣化のあまりしていない面の塗り回数を減らす
「3回塗り」で手抜きをする方法
※都市伝説なのか笑い話なのか分からないですが、有名な手抜き業者の小話を1つ。
3回塗りと言って契約したのに手抜きをされていると思ったお施主様が、
職人に「ちゃんと3回塗って無いじゃない!」と指摘したところ・・・
職人はローラーを上下に3回動かし、「ほら奥さん、ちゃんと3回塗ってますよ!」と言たのだとか・・・
皆さんはそんな業者に頼んでしまわないように、どうかご注意頂きたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回お伝えしたのは以下のポイントについてお伝えしました。
- 外壁塗装で3回塗りを行う場所
- 3回塗りの正しい塗り方
- 見積り書から読み解く「3回塗り」の明記の方法
- 3回塗り以外の塗り回数
- 塗り回数以外に大切な事
- 手抜きの手口
これで外壁塗装の3回塗りについては詳しく分かって頂けたと思います。
手抜き工事の予防をするにはずっと現場を見張っていなければならず、それは無理な事ですね。
ただし、この記事で手抜き業者と契約しないという「予防」が出来る筈ですので、皆さんのお役に立てればと思います。
投稿者プロフィール
- 花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。