ラッカー塗装が体に悪い影響を与える可能性も!毒性と注意点
ラッカー塗装は体に悪い影響を与える可能性があるため、毒性を理解して取り扱いに注意しなければいけません。塗膜が薄くて紫外線にも弱いことから、外壁や屋根などの屋外で使用されることはあまりありませんが、DIYで手軽に補修したいときに使われる人もいますよね。
そこでこの記事では、ラッカー塗装を安全におこないたい人に知っておいてほしい、以下の項目を紹介します。
この記事でわかること
ラッカー塗料を上手に使いこなすポイントがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
ラッカー塗装は体に悪い!ホルムアルデヒドや有害物質の影響
ラッカー塗装が体に悪い影響を与える可能性があるのは、有機溶剤が含まれているからです。有機溶剤とは、ほかの物質を溶かす性質がある有機化合物のこと※です。
※参考元:有機溶剤を正しく使いましょう|厚生労働省
有機溶剤が使用されているラッカー塗料は、人体にさまざまな悪影響を及ぼすことが指摘されているため、取り扱い時には十分注意しなければいけません。
屋内で使用している場合に気をつけたいのが、シックハウス症候群のリスクがある点です。
シックハウス症候群の原因にもなるホルムアルデヒド
有機溶剤が含まれているラッカー塗料には、有機化合物の一種であるホルムアルデヒドが含まれている場合があります。
ホルムアルデヒドは毒性が強い成分で人間の粘膜を刺激することから、さまざまな急性症状を引き起こすシックハウス症候群の原因になる※といわれています。
- 目がチカチカする
- 鼻水・咳・涙が出る
- のどが乾く・痛くなる
※参考元:5 ホルムアルデヒドとはどんな物質ですか|東京都保健医療局
ホルムアルデヒドは揮発性が高く、室内の空気を汚染しやすい特徴があります。
シックハウス症候群のリスクが問題視されたことで、ホルムアルデヒドの使用が規制されるようになりましたが、数年経っても空気中への放散が続くこともあるようです。
急性中毒症状や慢性中毒症状のリスクがある
ラッカー塗料には、ほかにも急性中毒症状や慢性中毒症状を引き起こす可能性がある有機化合物が含まれています。
たとえば、ラッカー塗料の薄め液として使われるシンナーに含まれているトルエンは、中枢神経に刺激を与えてめまいや意識喪失などの急性中毒症状を引き起こす場合があります。
使用後すぐに悪影響が出なくても、継続使用し続けると慢性中毒症状が起こる場合も。頭痛や吐き気、肝臓や腎臓への悪影響なども指摘されているため注意が必要です。
このように、体に悪い影響を与える可能性があることから、ラッカー塗料は正しく取り扱う必要があります。
ラッカー塗装で体に悪い影響が出ないようにする方法
ラッカー塗装で体に悪い影響が出ないようにするためには、いくつか注意したいポイントがあります。
ホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆の塗料か確認する
ラッカー塗料を購入する際にチェックしておきたいのが、ホルムアルデヒド放散等級です。
シックハウス症候群が問題視されたことで、ホルムアルデヒドを含む塗料や建築材料について、規格によっては使用制限が設けられました。
表示記号 | 使用制限 |
---|---|
F☆☆☆☆ | 制限なし |
F☆☆☆ | 使用面積の制限 |
F☆☆ | 使用面積の制限 |
旧E2、Fc2、表示なし | 使用禁止 |
表示記号の☆が多いほど、ホルムアルデヒドの発散量が少ないということ。つまり、F☆☆☆☆と表示されていれば、ホルムアルデヒドの発散量が少ないことがわかります。
現在流通しているラッカー塗料のほとんどが、F☆☆☆☆の表示を満たしているため、ホルムアルデヒドについては過剰に心配しなくても良いと考えられます。
ホルムアルデヒドの発散量が少ないほど、環境や人体への悪影響が少ないといえますが、発散量がゼロではない点に注意が必要です。
とくに気温が高くなる夏場はホルムアルデヒドが放散しやすいといわれています。
また、悪影響を受けやすい赤ちゃんや妊婦さんなどがいるご家庭では、有機溶剤が含まれるラッカー塗料を使用する際に配慮しなければいけません。
赤ちゃんや妊婦などは近づかない
ラッカー塗料を使用する際には、赤ちゃんや妊婦さん、高齢者、体調に不安がある人、ペットなどは近づかないようにしましょう。
どのくらいの量を使用したのかによって異なりますが、3日~1週間くらいは臭いが強く残る可能性があります。
できるだけ悪影響が出ないようにするためにも、ラッカー塗料を使った後は違う場所で過ごしたほうが無難です。
少しでも目・鼻・口などに異常を感じたり、いつもとは異なる体調の異変が生じた場合などは、念のため医療機関を受診することをおすすめします。
また、「自分は健康だから大丈夫!」と過信してはいけません。体調不良を引き起こさないためにも、しっかり準備しておきましょう。
口・鼻・皮膚を保護する
ラッカー塗料に含まれる有機化合物は、目や鼻などの粘膜に刺激を与えやすいため、使用する際にはしっかり保護することをおすすめします。
目の保護には、塗装作業用ゴーグルの着用がおすすめ。塗料がゴーグルに飛び散っても簡単にシンナーで拭き取れば落とれる有機溶剤対応だと便利です。
口や鼻の保護には、塗装作業用の防毒マスクが良いです。吸収缶と面体がセットになっている防毒マスクを着用するだめで、空気中の有毒ガスを吸着・除去してくれるので、塗料の臭いが気にならなくなります。
皮膚の保護には、塗装用防護服や手袋などを着用して、肌が露出しないように気をつけてください。
このように、ラッカー塗料を扱う場合は中毒症状を防ぐためにもしっかり準備を整えておきましょう。
補足①木製食器や家具にラッカー塗料が使われることもある
ラッカー塗料は金属や外壁などに使われますが、木製の食器や家具にも使用されている場合があります。ラッカー塗装以外には、ウレタン塗装やオイル塗装などが施されていることも。
ラッカー塗装は塗膜が薄くて耐水性・耐熱性が低いため、経年劣化で傷みやすく、塗り重ねて補修することが推奨されます。
自分で家具の塗装をメンテナンスすることも可能ですが、やすりで古い塗膜を削っておくと再塗装が長持ちしやすいメリットもあるので、DIYで塗装したいと考えている場合は、ひと手間かけてあげると良いでしょう。
補足②取扱時は火気厳禁
ラッカー塗料を使用する際には、引火性が高いことから火気厳禁を徹底しましょう。
ストーブやキッチンなど火の気がある場所では、絶対に使用しないでください。ラッカー塗料を拭き取った布が近くにある状態でタバコを吸う行為も危険です。
塗料を扱う際には健康や安全性に十分配慮しなければいけませんが、不安な場合は専門業者に相談してみることをおすすめします。
「こんな場所に使える塗料は?」「塗料を使う場合の注意点は?」など、気になることがあれば専門業者に確認して正しく扱いましょう。
ラッカー塗装の体に悪い影響が心配なら専門業者に相談を!
この記事のまとめ
- ラッカー塗装で体に悪い影響が出ることがある
- ラッカー塗料には有機溶剤が含まれている
- 有機溶剤の例はホルムアルデヒドやトルエンなど
- シックハウス症候群を引き起こす可能性もある
- 急性あるいは慢性の中毒症状を引き起こすことも
- F☆☆☆☆だとホルムアルデヒドの発散量が少ない
- 赤ちゃんや妊婦などはラッカー塗装直後に近づかせない
- ラッカー塗装の際には口や鼻などを保護する
- 木製食器や家具などにラッカー塗装が施されることも
- 取り扱い時は火気厳禁を徹底する
- 心配な場合は専門業者に相談してみる
ラッカー塗装が体に悪いとされる理由は、塗料に含まれている有機溶剤が人体に悪影響を及ぼす可能性があるからです。DIYでラッカー塗料を使用する場合は、有害なホルムアルデヒドやトルエンなどのリスクを十分理解して、正しく取り扱うように外壁塗装で使用する塗料の安全性に不安を感じる場合は、専門業者に相談してみることをおすすめします。
投稿者プロフィール
- 花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。