敷地が狭い場合に外壁塗装の足場はどうするの?

足場

都心の地価の高い場所では、敷地いっぱいに建物を建てたいので、必然的に家と家との隙間が狭くなります。

そのような環境で外壁塗装をする時には、足場を掛けるためにお隣の敷地を借りなければならない・・・と場合も多いものです。

 

中には、そもそも人が入って行けない場所もあり、工事自体が出来ない場合もあります・・・。

敷地を借りなければならない場合にはきちんとした挨拶や説明が必須ですが、それが出来ない業者だと建物では無くお隣との仲にヒビが入ってしまうことにもなりかねません。

そこで今回は、敷地が狭くて足場が建たない時のポイントについてお伝えします。

 

外壁塗装の作業をするのに最適な足場の距離は?

 

一般的に足場を掛けるのに必要な敷地の距離は60センチメートル程度。
これは外壁に手を伸ばして刷毛やローラーを持って塗る「塗装をするために最適な距離」です。

実際には、大工工事をするのに適した距離は別で、左官工事・雨どいの交換などそれぞれの工事でも最適な足場の距離は若干違います。

 

仕事によって違う「最適な足場」とは?

例えば新築工事の場合は、足場を使う外部工事に何種類もの工事が入ります。
それぞれの工事では最適な足場までの距離や足場の段の高さも違います。

  • 例えば大工工事では塗装作業よりも足場は近くなります。
    大工工事では壁を作る前の下地材木などを持ったり支えなければならない事も多いからです。
  • その後の左官屋さんはコテでモルタルを力を入れて押さえます。
    足場の距離感は大工さんと塗装の中間位の位置です。
  • 雨樋を交換する場合には足場の高さが塗装とは全然違います。
    雨樋の交換作業では横の樋が肩の高さになるのがベストなのに対し、塗装の場合は横樋が頭の上にあるのがベストです。

このように新築工事では大工さんが主役ですから大工さんの距離感に合わせて足場を作ります。

しかし外壁塗装の場合は塗装職人が主役の工事ですから、初めから塗装をするのに最適な足場が組めるような調整や工夫が必要になります

 

足場が良いと何が良いのか?

足場の品質は、作業場の安全性に影響します。

また、足場が適切な位置にあると作業効率が上がって時間的な余裕が生まれます。

当然、各工程をより丁寧に行うことが出来るので、仕上がりにも影響があります

実際足場が外壁と近い場合、目の高さから膝までの部分はしっかり力も入れて塗る事が出来ますし、目視もちゃんと出来ます。

しかし、膝から下ら下の段の頭の上(つまり、足場の板の上下)の部分は若干力が入らず、目視も難しい場合があります。

そんな環境の違いを感じさせずにどんな足場でもきちんと仕事をするのが【プロ】ですから、どんな足場でも同じ仕上がり品質を保たなければなりません。

ただ、現場の管理者が下記のような事前の準備を怠っていたり、やるべきことを知らなかったりすると、仕事が上手く進まなかったり品質が落ちたり、ご近隣様へも迷惑を掛けてしまったりすることがあるので注意が必要です。

 

敷地に余裕が無い場合のパターンと対処法

では、具体的に足場を建てる敷地に余裕が無い時のパターンと、その際の対象法について考えてみましょう。

 

所有敷地内に柱が建つ場合

敷地に60㎝以上余裕がある場合

外壁塗装をする時に建物から足場の柱までが60㎝あれば(おおむね)敷地内に最適な足場が建てられます。

(ただし、屋根の軒先が60㎝以上出ている場合はその軒先から30㎝先の地面までの余裕が欲しいところです。)

 

敷地に30㎝~60㎝程度の余裕が有り、普通に人が通り歩き出来る場合

おおむね地面の敷地領土が30㎝程度あれば、まあ真っ直ぐ人が歩いて行けます。

敷地にその程度の余裕があれば、まず足場を組むのに心配は要りません。

作業をするのにもさほど影響が出る事は無いでしょう。

 

敷地が30㎝~10㎝程度の場合

敷地が30㎝~10㎝程度になって来ると、人が横歩きでなら進んで行ける幅です。

この場合、足場の柱を敷地の外側いっぱいに立てます。

ただ、足を乗せる板を敷地内に収める事が出来ないことが多く、このような場合にはお隣側の空中に余裕があるかの確認をします。

お隣の空中にスペースがあれば、あらかじめお願いをさせて頂き、空中をお借りします。これを空中越境と呼んだりしています

 

実際のところ、都内で空中越境をお願いしなければならない場所が1カ所も無い、といった現場環境は非常に稀です。

特に旗竿地の場合、四方を囲まれていて全ての面で空中境界をお願いしなければならない場合もあります。

 

敷地境界にフェンスなどが無い場合

外壁から境界までの敷地が10㎝以下の場合は、以下のように足場の柱がお隣側に出てしまうこともあります。

その時に、お互いの敷地がフェンスなどで区切られていない場合には、あらかじめ外壁塗装の時等に「お互い様」なことがあるといった共通の認識がある事が多いです。

 

境界フェンスが無い場合には以下の2つのパターンがあります。

地面が土等で地面の境界がはっきりしていない場合

地面が土や砂利などで敷地の境界がハッキリ分からない場合には、地面の境界にこだわらず上空の建物と建物の中央に柱を立てます。

境界に低いブロックがある場合

建売り分譲地では、初めからこの時の事を想定してお互いの土地の境界上に低いブロックがある場合があります。

この場合はそのブロック上に柱が立つ事が多く、事前の気遣いが役に立ちます。

 

敷地境界よりも大切なのは上空の隙間の問題になる?

以下のケースでも同様ですが、このような場合の多くはお互いの建物が近くに建っているので、敷地の問題よりも屋根より上に足場を出せる位置が問題になって来ます。

もしも地面のどこにでも足場を立てて良い条件であっても、屋根の軒先で足場がお隣の家に当たってしまう場合があります。

そうなると既に【敷地】の問題ではなくなり、お互いの建物の上空の隙間の中央にどの位置なら足場の柱が通るか?が問題になって来ます。

 

建物が接近している場合の注意点

上記のように建物が接近している場合には、風に煽られたりすると足場が揺れて雨樋や屋根に当たって破損させてしまう危険があります

そんな事にならないように、足場が揺れないように固定しなければなりません。
柱を固定させるための処置は以下の2通りです。
1つ目は通称【足場の突っ張り棒】
2つ目は【木造用アンカー】です。

足場の突っ張り棒とは?

これは、足場の柱からお互いの建物へ両手を延ばすように突っ張って足場が動かないように固定させる方法です。

正直、お隣の方にはご迷惑な話ですし、そのせいでダメージや汚れが起きたらイヤなものです。

しかし足場の柱が揺れて当たって破損してしまう事の危険性を考えると、お隣の方にきちんと説明をさせて頂きご理解頂けるようにお願いする必要があります。

木造用アンカーとは?

上記の【突っ張り棒】がお願いできない場合や、お施主様の方で気が引ける場合に使うのが【木造用アンカー】です。

これは外壁にビスを打ってそれと柱を繋いで振れを止める方法です。

一般的に外壁に穴を開けてしまうのは嫌なものですから、あまり採用されませんし、正直あまり使用したくありません。

ビスを打った穴は、足場を外す時にコーキング材で埋めてその上に外壁に塗った塗料を塗ります。

正直、コーキングが乾かないうちに塗料を塗るので、後で若干変色する恐れがあります。

ですから、花まるリフォームでは出来る限り【突っ張り棒】にて対応させて頂きたいです。

 

敷地境界にフェンスなどが無い場合

境界に高いブロック・万年塀がある場合

境界上にフェンスがある場合

 

境界を越えてお隣に柱を建てる場合

お隣の敷地に余裕がある場合

お隣の敷地と共用的に使えるようになっている場合

お隣の敷地が車庫の場合

お隣の敷地にも余裕が無い場合

 

境界を越えて足場を建てる時の注意点

また、職人の態度の悪さからクレームになる等、ご近隣への気遣いや対応が工事意外にも意外と大事なポイントとなります。

【ココがポイント!】

・ 敷地内で足場が建たない場合は、事前の挨拶がきちんと出来る業者に頼みましょう!

・ 態度の悪い職人や担当者だと、工事が元で近隣とトラブルになる可能性も!?

・ お隣との距離が近い場合は、ニオイの面から水性塗料がベスト!

・ 何度も工事をするのが煩わしい場合は、寿命の長い塗料がオススメ!



 

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投稿者プロフィール

高橋 良一
花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。