外壁塗装を考えた時には「どんな塗料を塗ればよいのか?」で悩むことが多いもの。
しかし、都内近郊の住宅に多いジョリパット外壁やリシン吹き付け外壁では塗替え用塗料が決まっていて選べない…ということは意外と知られていません。
実は、ジョリパット外壁とリシン吹き付け外壁には塗り替え用の専用塗料があります。
一般的に言われている【アクリル>ウレタン>シリコン>ラジカル>フッ素…といった塗料】からは基本的に選ぶことが出来ないのです。
細かい内容まで知りたい場合は、後半まで読んで頂けると幸いです。
では、ここからが前半です。
ジョリパット外壁とリシン吹き付け外壁では外壁塗装用塗料が選べない???
ほとんどの方がこの事を知ると驚かれるので、あなたもビックリしてしまったかもしれません。
ネットやチラシの情報には、そんな事は書いていないからです。
「色々な塗料から選んで決めなくちゃいけない」と思っていたのに、突然「塗料が選べない」と言われたらビックリしますよね。
これには地域性が関係しています。
今回のテーマになるジョリパット外壁やリシン吹き付け外壁で建てられている家は、都内近郊にだけに多いという特徴があるのです。
都内近郊では「建売り分譲住宅」が多く、その外壁のほとんどがジョリパットやリシン外壁なのです。
その理由は、見栄えの良さ・高級感。
建築コストは割高なものの、最終的な家の価格は見栄えが良ければ掛けたコストより高くできます。
また、何よりも売れやすく・売れ残ってしまうリスクが低くなるのです。
一般的な塗料はサイディング外壁用の塗料
ただし、全国的に見ると建売り分譲住宅よりも注文住宅の方が断然多い訳です。
注文住宅になると、コストの高いジョリパットやリシン外壁は敬遠され、サイディング外壁の方が断然多くなります。
なんと…ジョリパット外壁やリシン吹き付け外壁はたった1割しかなく、9割はサイディングの外壁なのです。
そして、一般的に言われている塗料の選択肢【アクリル>ウレタン>シリコン>ラジカル>フッ素…から選ぶ塗料は、主にサイディング外壁用の塗料なのです。
ですからネットやチラシの情報では9割のサイディング外壁向けの情報がメインになり、ジョリパットやリシン向けの塗料については、ほとんど誰も書かないのです。
ただし、少数派のジョリパット・リシン外壁だからと言って、素材に適していない塗料を塗って良い事にはなりません。
外壁下地の通気性と撥水性を元に塗料を選ぶ
塗装に限らず、お肌でも機械の部品交換でも「下地に適合したものでお手入れ(塗替え)をする」のは当然ですね。
では、ジョリパット・リシン吹き付け外壁とサイディング外壁で何が違うのかと言うと、
通気性 | 撥水性 | |
ジョリパット・リシン外壁 | ○ | × |
サイディング外壁 | × | ○ |
このように塗装膜と防水性に関する重要な2つの項目…【通気性】と【撥水性】が真逆なのです。
では両者の違いについて、少し解説していきます。
撥水性外壁下地:主にサイディング外壁
外壁の表面で雨水を弾いて、下地に浸透しないように撥水するタイプの外壁が撥水性外壁です。
サイディングと一部のモルタル外壁(吹き付けタイル外壁など)が撥水性外壁になります。
サイディング外壁は工場で撥水塗装をされて出来上がります。
塗替え用の塗料も撥水性塗料が適しています。
【アクリル>ウレタン>シリコン>ラジカル>フッ素…といった各種のグレードがある塗料は、基本的にこの撥水性塗料です。
通気性外壁下地:主にジョリパット・リシン外壁
外壁の表面で雨水を弾かず、浸透・放出を繰り返すタイプの外壁が通気性外壁です。
ジョリパット・リシン外壁が通気性外壁になります。
ジョリパット・リシン外壁は、専用の通気性専用塗料があります。
専用の塗料なので、塗替え後も通気性が保たれます。
通気性外壁専用塗料にはグレードが無く、各メーカーで1種類で「○○フレッシュ」という商品名は、基本的に通気性塗料です。
雨水は弾かなくても良い?
ここで???と思う方も多いと思います。
ジョリパットやリシンの【通気性外壁】は雨水を浸透させてしまいます。
雨水は弾いた方が防水性があって良いように感じるのが普通かもしれません。
しかしそれは問題なく、内部の防水シートで雨水は防ぐことになっているのです。
防水シートの性能向上が通気性外壁を可能にした
今の木造住宅では、外壁や屋根の表面だけで防水をしていません。
外壁材や屋根材は、太陽光の紫外線を遮るのが主な目的です。
雨水を防いでいるのは、内側にある防水シートの役割です。
(専門用語になりますが、外壁・屋根材は「一次防水」、内部のシートが「二次防水」という呼び名になっています)
防水シートは時代と共に進化をし、今は外壁で撥水せずに水分が浸透しても雨が漏る心配はありません。
外壁が雨漏りが起きる原因のほとんどは「設計の失敗」です。
「ヒビ=雨漏り」は昔の話…現代の雨漏りの原因は?
その昔、まだ防水シートの性能が悪かった頃には、雨漏りが多かった時代もありました。
その呪縛が残っていて、或いは恐怖心を煽るセールスに使われていて…「外壁のひび割れから雨漏りする」という情報が沢山見られます。
その昔雨漏りしていた原因は防水シートの品質向上や外壁の工法・構造の向上などの改良で既に解消されています。
ただ、そうなると別の問題が発生します。
防水シートや建材の品質向上を過信した構造で設計してしまう建築士・設計士です。
また、無理な設計による施工ミスや手抜き工事も結果的に多くなってしまいます。
現代の新築住宅では「普通に作っていれば」外壁のひび割れ程度では雨漏りは起きません。
雨漏りしてしまうのは…新築工事が原因で、経年劣化ではありません。
設計ミスや手抜き・欠陥工事がほとんどです。
下地素材の特性に合わせた適切な塗料選び
そうすると、外壁の表面と内部の防水シートの両方で雨を防いだ方が2倍雨漏りしにくくなるような気がします。
確かにそれはあるのですが、別の意味で下地素材に適していない塗料を塗ってしまう事の弊害が起きます。
ジョリパット・リシンに撥水性塗装をすると剥がれる危険が?
ジョリパット・リシン外壁は、新築時はどこからでも雨水が染みて入り、どこからでも出る構造です。
しかし撥水性塗料でラップされてしまうと、入った水分が外に出る事が出来なくなります。
撥水性外壁は下地自体が水を含まないので、雨水を吸い込みません。
しかし、ジョリパットやリシン吹き付けの場合、吸収された雨水は外壁下地内部と防水シートの間で溜まってしまい、かえって防水シートを傷めます。
また、水蒸気になった水分が塗料の表面を押し出して、外壁が剥がれる原因にもなるのです。(下図)
木造住宅には「通気性」が必要
サイディング外壁もモルタル外壁も古いタイプでは通気が出来ませんでした。
- 「直貼り工法」がサイディング外壁の旧タイプ。
下地とサイディングが直接接していたので防水シートが蒸れて劣化して問題になりました。 - 現在のサイディングは「通気工法」
下地に通気層が有り、目地の亀裂や隙間から入った雨水なども外部に出せるように進化しています。 - ジョリパット・リシン外壁は「表面全面で通気する」
外壁表面で通気する事により、内部の防水シートの蒸れと劣化を防いでいます。
ジョリパット・リシン外壁は「通気すること」で剥がれない
では、なぜジョリパット・リシン外壁は雨水が浸透しても剥がれないのでしょうか?
それは簡単な話ですね。
外壁から入った水分は、どこからでも吸収して、どこからでも放出できる。
通気性の塗料と防水シートの組み合わせで雨漏りしないようになっている、というわけです。
間違った塗料を勧める業者に依頼すると…
その最新の防水構造を持つ特徴のあるジョリパット・リシン外壁を、わざわざ旧タイプの塗料で塗り、呼吸を止めてしまって良い訳がありません。
ですが、残念ながらこの情報を知らない業者の方が多く、ジョリパット外壁やリシン吹き付け外壁の上にでも間違った塗料を勧める業者ばかりです。
一度間違った塗料を塗ってしまうと、次回の塗替えでも元には戻せません。
せっかく高級感がある外壁の風合いが台無しになってしまいます。
ピカピカした外壁になってしまい後悔する前に、ここからの後半では【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】の塗替えをする時の正しい塗料の選び方をお伝えします。
ここからが後半です。
前半と重複する部分もありますが、画像も加えて分かりやすくなっています。
【後半の内容】
- 【ジョリパット外壁(※1)】と【リシン吹き付け外壁】の見分け方
- なぜ一般外壁用塗料(※2)の情報しか流通していないのか?
- なぜ都内近郊だけ【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】が多いのか?
- 各種外壁の違いと見分け方
- 【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】で塗替え専用塗料を塗るべき理由
- なぜ【アクリル>ウレタン>シリコン>ラジカル>フッ素…】などのグレードの有る【艶有り塗料】が適さないのか?
- 多くの業者で【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】でも一般的な塗料を平気で塗っている理由
(※1:正確には「ジョリパット」は商品名なのでカテゴリー名では無く、その種類の中で一番有名な塗料名です)
(※2:【アクリル>ウレタン>シリコン>ラジカル>フッ素…】などのグレードの有る塗料の事を後半では「一般外壁用塗料」と表記します。
ジョリパット外壁・リシン吹き付け外壁 共通の特徴
ジョリパット・リシン吹き付け系の一番の特徴は、外壁表面は雨水を含んで放出する、浸透・呼吸型の外壁という部分です。
その他の特徴は以下のようになります。
- 見た目は艶消し
- 雨水を弾かなくても特に問題は無い
- 耐久年数は、周囲環境による外壁の汚れ具合で決まる(早く汚れた家は10年程度~汚れない家は15年程度まで)
- 一般的な情報では省かれている塗料。建売り住宅の多くはこの種類が塗替え専用塗料になる
ジョリパット・リシン吹き付け 見た目の特徴
ここが分からないと困るので、もう少し詳しく【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】の簡単な見分け方について解説をします。
艶が無い
外壁に限った話ではなく、昨今の流行は「ピカピカ」の見た目より「艶消しのシックな風合い」が好まれています。
触ると少し痛い
艶の有る/無しについては、艶有り外壁でも耐候年数を過ぎれば自然に艶が無くなってしまうので、見た目の判断が出来ない場合があります。
ただ、ジョリパット外壁・リシン吹き付け外壁を触ってみれば「ザラついていて、少し痛い」かどうかは、誰でも簡単に分かります。
手で擦って軽石っぽい感じか、それよりも痛い感じであれば、モルタル外壁の透湿系「艶消し仕上げ」の可能性がかなり高いです。
「南フランス風・珪藻土風」のパターンで出来ている落ち着いた雰囲気の外壁が多い
モルタル外壁の透湿系「艶消し仕上げ」は、同じ材料から数十種類の模様を作ることが出来るのも大きな特徴です。
その中でも代表的な扇状の「南フランス風」パターンは、1つ1つの半円パターンを手作りで作ります。
手間を掛けているだけあって、この素敵な風合いは他の外壁では表せないものです。
凝ったあしらいで、おしゃれに見える
外壁をいくつもの配色にしたり、アクセント部分のパターンを変えたりして凝った外壁にしている家も増えてきました。
配色とパターンの組み合わせを行うセンスを問われる部分ですが、おしゃれな外観を演出できるポイントでもあります。
ジョリパット・リシン外壁の外観
ジョリパット・リシン外壁の外観はこのような感じです。
また、花まるリフォームではジョリパット外壁・リシン吹き付け外壁の塗替えが一番多いので、施工事例集に沢山事例があります。
ジョリパット外壁の施工事例 | リシン吹き付け外壁の施工事例 |
外壁塗装は「下地に合ったもの」を選ぶのが基本
外壁の塗装をする時には下地に合わせた塗料を塗らなければいけません。
外壁下地の種類は主に2種類です。
下記のように「一般的な塗料を塗る外壁材」と「例外的な塗料を塗るべき外壁材」があるのです。
- サイディング外壁・艶の有るモルタル外壁(吹き付けタイル柄など)を塗るのは「一般外壁用塗料」
- ジョリパット・リシン吹き付けなどの艶の無いモルタル外壁は例外なので、塗るのは「専用塗料」が適しています
ただ「外壁の種類」と「外壁下地の種類」とは混同しやすく分かりづらいので、その部分を整理して分かりやすく解説します。
日本の住宅の構造の種類
まずは建物構造の種類です。
日本の住宅の構造には、主に下記の3種類があります。
●木造
●鉄骨(ALC/ヘーベル)
●鉄筋コンクリート
このうち一般的住宅の多くは「木造」ですね。
木造住宅の外壁の種類
次に、木造住宅の外壁の種類です。
主に【サイディング外壁】と【モルタル外壁】の2種類の外壁材があります。
全国的にはサイディング外壁が約9割で、モルタル外壁が約1割だと言われています。
しかしこの比率は地域差が激しく、都市部だけモルタル外壁の方が多くなっています。
全国的には約9割の「サイディング外壁」とは?
サイディング外壁は新築戸建て住宅の約9割で使われ、メーカー工場で作ったパネルを建物の壁に貼って作ります。
主に「窯業系(セメント系)」と「金属系」の2種類。
どちらも表面は雨水を弾いて被膜を作る撥水性塗装になっています。
全国的には約1割の「モルタル外壁」とは?
モルタル外壁は新築戸建て住宅の約1割で使われ、左官屋さんが現場でモルタルを練ってコテで塗って外壁を作ります。
※ モルタル外壁の塗装には下記の2種類の下地があり、ここが混同しやすい部分です。
- 吹き付けタイル系
- ジョリパット・リシン吹き付け系
では、この2種類の違いを詳しく解説します。
モルタル外壁の種類
吹付けタイル系外壁とは?
吹き付けタイル系外壁は、サイディングと同じ塗料…外壁表面で雨水を弾いて、被膜を作る撥水性塗料を塗ります。
特徴は以下のようになります。
- 見た目は艶がある
艶を落とす加工も可能だが寿命が落ちる(全艶有り・半艶・艶消しなど) - 各種グレードにがある
(アクリル・ウレタン・ラジカル・シリコン・フッ素・光触媒・無機…など) - 耐久年数は上記グレードに準じ、チョーキングが起きたら寿命
- 一般的な情報ではこの種類から外壁塗装用の塗料を選ぶようになっている
ジョリパット外壁とは?
ジョリパットは、アイカ工業の外壁材です。
都内の戸建て住宅で一番多く採用されていて、40年もの長い歴史があります。
ジョリパット外壁の特徴
ジョリパットの外壁の特徴は「艶消しのマットな仕上がり」と多彩なパターンによる高級感です。
また、表面で無理に雨水を弾かず透湿性のある「呼吸を行う通気性外壁」になります。
その他の特徴としては…
- グレードはシリコン
- 耐久年数は、周囲環境による外壁の汚れ具合で決まる(早く汚れた家は10年程度~汚れない家は15年程度まで)
- 都市部の分譲建て売り住宅に多い
- ジョリパットの塗替え用には専用の塗料がある
ジョリパット系とは?
1975年にアイカ工業が「ジョリパット」を発売してベストセラーになりました。
その後、他メーカーが下記のライバル商品を発売しました。
このカテゴリーは建築資材的な一般名称が無く、商品名の「ジョリパット」が総称的に使われています。
各塗料メーカーのジョリパット系外壁材
各塗料メーカーが下記のようなジョリパット系外壁材を出しています。
エスケー化研:ベルアート・日本ペイント:インディフレッシュセラ・菊水化学:グラナダ
リシン吹き付けとは?
ジョリパットが商品名なのに対し、リシン吹き付けは工法名です。
細かい石粒を塗料に混ぜて吹き付ける「石粒状の吹き付け外壁仕上げ」です。
リシン吹き付けの特徴
- リシンの外壁は近くで見るとザラっとしている
- 艶が無い
- 和風にも洋風にも合い、落ち着いた雰囲気に仕上がる
- リシン外壁には専用塗料がありませんが、特徴同じジョリパット外壁の塗替え専用塗料で塗るのが適しています。
写真をみると「うちもこのような外壁だ」と実感できるのではないでしょうか?
各塗料メーカーのリシン吹き付け塗料
各塗料メーカーが下記のようなリシン吹き付け用の塗料を出しています。
エスケー化研:ソフトリシンなど・日本ペイント:ニッペ リシンなど・関西ペイント:アレスリシンなど・菊水化学:キクスイ コートリシンなど
【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】の専用塗料
【ジョリパット外壁】と【リシン吹き付け外壁】の塗替え専用塗料の具体例を紹介します。
アートフレッシュ(エスケー化研)/ジョリパットフレッシュ(アイカ工業)
ジョリパット系外壁の塗替えで使うべき専用塗料は2021年現在、下記の5種類があります。
これ以外の塗料で塗る場合は、外壁塗装用の汎用塗料の可能性が高くなるので注意が必要になります。
ジョリパット系外壁の塗り替え専用塗料
- アイカ工業:ジョリパットフレッシュシリーズ(JQ-800・810・820)
- エスケー化研:アートフレッシュ
- 日本ペイント:インディフレッシュセラ
- 関西ペイント:デコラフレッシュ
- 菊水化学:グラナダフレッシュ・グラナダフレッシュF
ジョリパット外壁・リシン吹き付け外壁に「専用塗料」を塗る理由
ジョリパット外壁・リシン吹き付け外壁に「専用塗料」を塗る理由は簡単です。
サイディング外壁用の一般塗料(被膜を作る塗料)と、ジョリパット外壁・リシン吹き付けの(呼吸系塗料)では性質が全く違うからです。
専用塗料の塗料があるので、それを素直に塗るべきです。
しかし不思議で残念なことに多くの業者が、一般外壁用の塗料を平気で塗っています。
ジョリパット外壁・リシン吹き付けの外壁に専用塗料があるとは知らされずに、勝手に一般塗料を塗られてしまったら大変です。
艶が出てピカピカになってしまい、元々の雰囲気が台無しになってしまいます…
花まるリフォームではジョリパットやリシン吹き付け外壁の塗り替えでは、基本的に塗り替え専用塗料をおすすめしています。
その理由は、大きくわけて2つあります。
1:新築当時の風合いを取り戻すため
花まるリフォームが選ぶ塗料は、艶消し外壁の塗り替え専用にできた塗料で、主にエスケー化研のアートフレッシュです。
見た目の風合いや質感=外壁の特徴を守り、「新築当時のように綺麗にする」ことができます。
専用ではない(艶有り)一般塗料を塗ってしまうデメリット
しかしながら、世の中には、専用塗料の存在を知らない業者が沢山います。
いわゆる【アクリル・ウレタン・ラジカル・シリコン・フッ素・無機】といった種類がある塗料は全て「艶あり塗料」です。
それらのグレードがある塗料を勧める業者の方が多いので注意が必要です。
艶消しの風合いで上質感があった家の質感がガラッと変わって、ツヤツヤに光った外観ができあがってしまいます。
残念ながら、今でも間違った塗料を選んでピカピカになっている家が目立っているのが現状です。
2:本来持っている通気性を保つため
ジョリパット外壁・リシン吹き付けは、人が呼吸をするように、建物の外壁に水を染み込ませたり・放出したりしています。
通気性の良さから「呼吸する壁」と呼ばれています。
雨水が染み込む外壁でも大丈夫な理由
ここで家の内部に水分が染み込まないのか心配になる方もいると思います。
壁の内側には、「透湿防水シート」と呼ばれる水を通さないシートが必ず施工されています。
住宅の構造部分(木部)には水が浸透しないように作られているのです。
実のところ、モルタル外壁もサイディング外壁も、外壁材だけで雨漏りを防いでいる訳ではありません。
木造住宅の雨漏りを防いでいるのは、ほとんどがこの防水シートです。
モルタル外壁やサイディング外壁の実際の役割は、雨を防ぐよりも「太陽光からの紫外線劣化」を防ぐ要素がほとんどです。
モルタルのひび割れや、サイディング目地の亀裂から簡単には雨漏りしない理由は、外壁内部の防水シートが雨を止めているから…だったのです。
新築時に施工したジョリパットやリシン吹き付けも同様で、あえて外壁塗料で雨水をはじかなくても問題はありません。
この呼吸する壁に、あたかもラップをしてしまうように「艶あり塗料」を塗ってしまうと、建材の持つ本来の通気性に蓋をしてしまうのです。
艶消し外壁に誤った「艶あり塗料」を選んでしまう3つの理由とは?
もしもほかの塗装業者さんとお話をする機会があるときは、この情報を知識として知っておくと損はないでしょう。
艶消し外壁に誤った塗料を選んでしまうのは、これらの3つの理由があります。
1:従来の塗装は、艶を出して雨水をはじくことを使命にしていたから
基本的に、昔からのある塗料は雨水をはじくことを塗装の目的にしていました。
しかも、各メーカーは「艶と撥水効果」を競い合い、職人たちにとってはピカピカに仕上げることが腕の見せ所だったのです。
その流れが現在でも続いていることで、艶あり塗料を選んでしまうケースが一番多いです。
2:艶なし外壁に適した塗料の開発に時間がかかったから
実は当初ジョリパット外壁の塗り替えでは専用の塗り替え用塗料がありませんでした。
そのため艶有り塗料しか選択肢が無かったのです。
2008年にようやく専用の塗り替え用塗料が発売されました。
しかし10年以上経った今でもそれらの塗料がある事を知らない業者が多く、そもそも選択肢に無いのです。
3:現在主流のサイディング外壁の場合は、艶あり塗料を塗るから
現在建てられている新築住宅は、日本全国の平均を見るとサイディング材が主流です。
(世田谷区はモルタル外壁の方が多いですが…)
サイディング外壁の塗り替えに関しては、艶あり塗料を選ぶのが正しい選択ですから、花まるリフォームも当然そのようにしています。
基本的には、サイディング外壁の場合は艶あり塗料を塗る。
モルタル・艶消し外壁には艶消し塗料を塗る。
そのように覚えておいてください。
都内周辺ではモルタル外壁が7割:サイディング外壁が3割の理由
しかしこの9:1という割合について、花まるリフォームのある世田谷区を含む都内周辺ではその通りとはとても思えません。
約7割がモルタル艶消し外壁、残りの3割がサイディングの外壁という感覚です。
そのように逆転現象が起きるのには理由があります。
モルタル外壁・艶消し仕上げが多い理由
都内周辺と地方の住宅事情で決定的に違うのは、建売・分譲住宅が多いこと。
建売り・分譲住宅では、売れ残ったら大変ですし、少しでも付加価値を付けて高く売りたい事になります。
すると、見栄えよく高級感がある外観が求められるのです。
その高級感を演出するには、しっとり落ち着いて見えるモルタル外壁の艶消し仕上げが必要になるのです。
モルタル外壁で艶有り外壁を建てない理由
モルタル外壁でも「艶有り仕上げの外壁」も作れます。
しかしピカピカ光る艶有り外壁では、残念ながら高級感には欠けて見えてしまいます。
確かにサイディング外壁の分譲住宅もありますが、実際に大手の高級分譲住宅は全てモルタル外壁の艶消し仕上げで出来ています。
(三井不動産の「ファインコート」・三菱地所の「ザ・パークハウス」・野村不動産「プラウドシーズン」など)
サイディング外壁が多い地域の理由
注文住宅の方が多い地域では、コストパフォーマンスも重要な要素です。
サイディング外壁は、建築費用が抑えられる点では優れていますし、外壁の見本がカタログやサンプルで見れるので安心感があって選びやすくなっています。
モルタル外壁の場合は職人さんが手作業で柄を作っていくので、出来てみないとどのような見栄えになるかが分かりません。
その点でも分譲住宅は、出来上がってから実物を見て選ぶことが出来ます。
見栄え良く高級感がある家が完成しているので、イメージの相違もありません。
最後に
艶消し外壁には艶消し塗料を選ぶ理由をお話いたしました。いかがでしょうか?
今もなお、業界の慣例のように、艶消しの外壁に艶あり塗料を塗られてしまうこともあります。
しかしこの記事の中では、艶消しの外壁の場合は、
・趣のある外観の雰囲気を保つために艶消し塗料が選べること
・艶消し外壁専用の塗り替え用塗料があること
・艶消し塗料を選んだ場合でも、家の中まで水がしみこむ心配はなく、性能は担保できること
このようにお伝えしました。
また外壁塗装について不安があったらお気軽にお問い合わせください。