強風時に雨漏りしやすい家とは?

強風時に雨漏りしやすい家

雨漏りが起きる条件には、大きく2種類に分けられます。

  1. 通常の雨でも漏ってしまう場合
  2. 通常の雨では漏らない場合(一定の条件の時に漏る場合)

ほとんどの雨漏りは、2番目の「雨が降ると毎回漏る訳では無く、一定の条件の時にだけ漏る雨漏り」です。

多くの雨漏りで起きる「一定の条件」の多くは「強風」です。
台風の時や気圧の加減で、荒れた天候になると横風が吹くようになります。横風が吹くと、風は下から巻き上がって来ます。

この時雨が降っていれば、一緒に雨水が下から上へと「通常では無い条件で」逆向きに降るので、建築時の想定外の部分から雨水が差し込むようになるのです。

そこで今回は、そんな「強風時に雨漏りしやすい家の特徴」をまとめてみました。

この記事が「予防に役立つ」としたら、雨漏りする前にプロの確認や事前の手当てを行うようにしてください。
また、既に数回雨漏りが起きてしまっていて、この記事の傾向に当てはまっていたら、雨漏り改修防水工事を行うキッカケになればと思います。

是非参考になさって下さい。

 

強風で雨漏りしやすい家の特徴は?

今の建物は、年々建材(素材)が良く・強く・丈夫になり、雨漏りはしにくくなりました。
それに伴い、昔の建物では出来なかったような下記のようなデザインが出来るようになりました。

  • 軒先を全く無くしても雨が漏りにくく出来るようになった
  • 窓の上にヒサシを付けなくても雨が漏りにくく出来るようになった
  • 建物内部の防水シートが強くなり、雨水を外部で遮断しなくても雨が漏りにくくなった
  • 防水工事でルーフバルコニーを作り、木造でも屋上形式が出来るようになった

確かに劣化に強い建材を使う事で「デザイン性に優れたお洒落な家」が増えて来ました。
しかし、異常気象とまでは言いませんが、少しずつ強風などの荒れた天気が増えている気がします。

劣化に強い建材を使う事で通常の降雨には長期間耐えられるようになりました。
しかし「強風によりどこから雨が吹き込むか分からない状況」への対応は、建材の丈夫さとは別の対応が必要になります。

その部分に関しては、残念ながら新築時の設計や施工現場での創意工夫に関係してきます。

 

強風で雨漏りしやすい場所の具体例

では、上記4つの場所の具体例を見てみましょう。

軒先の出幅が無い(少ない)

今の家は総じて屋根が建物本体から伸びていません。
建物から屋根が出ている部分を「軒先」と呼びます。

軒先が出ている事で雨漏りの予防には下記の2つのメリットがあります。

  • 外壁に雨が掛からなくなる
  • 屋根と外壁の付け根(下側)に巻き込む風が減る

2番目の部分がまさに「風が強い時」に関係してきます。

「軒先は下記写真のようなところです。

軒先

このくらい屋根の軒先が出ていると、家の傷みも少なく出来ます。

この程度でも軒先があると、多少の雨では外壁に雨がかからなくなります。

 

「笠木」は「軒先が無い屋根」の一種

実は今の家には、屋根以外にも「軒先の無い屋根」と同じような部分が沢山有ります。

「笠木」という部分がそこで、下記写真のようなところです。

笠木と手すり付き笠木バルコニー廻りの腰壁部分についている笠木と手すり付き笠木。 笠木があると、雨水が外壁を伝いにくく出来るこのように、笠木の縁から雨水が外壁を伝わらずに落ちれば、ちょっとの雨なら外壁が濡れなくて済む。

笠木はベランダ外側の手すりのある部分には必ずあるパーツです。
素材はアルミが増えて来ましたが、トタン(ガルバリウム鋼板)の笠木も多いです。

 

窓の上にヒサシが無い

昔の家は窓が木製でアルミサッシと比べて密閉が悪かったため、全ての窓の上にヒサシが付いていました。
ヒサシは別名「霧除け(キリヨケ)」と言い、少々の雨なら窓に雨が掛からないように出来ます。

現在は窓がアルミサッシ代わり、窓に直接雨が掛かっても簡単には雨漏りはしませんから、ヒサシの役割は「夏の陽射しを遮る」という部分が大きくなっています。

ただし、窓の開口部分は耐震的にも弱い部分になるため、周囲にヒビ割れも入りやすくなります。
ただの外壁よりも雨漏りの確立が高いのは間違いありません。

窓にヒサシも軒先も無い家窓にヒサシも軒先も無い家は意外と多い シャッターがあればヒサシ代わりになっているシャッターがあればヒサシ代わりになっている

出窓も雨漏りしやすいパーツ

出窓は最近の建物で増えた家のパーツですが、雨漏りしやすいパーツの1つです。

  • アルミの出窓

特に昭和の時代に建っている建物の出窓は少々危険です。
アルミサッシのメーカーも開発の試行錯誤中の製品だったため、劣化の具合によっては長持ちしないのです。

例えば、屋根部分の先端がコーキングで接続されているものは、コーキングが切れてしまい、常時雨が入るようになってしまいます。

アルミ出窓アルミ出窓 屋根部分がガラスになっているアルミ出窓屋根部分がガラスになっているアルミ出窓
  • 外壁の出窓

アルミ製の出窓ではなく、外壁と同じ素材(モルタルやサイディング)で建物から出っ張っているタイプの出窓も有ります。
このタイプの場合、その出窓部分だけが出ているために風雨にさらされる事になり、他の外壁よりも著しく劣化が進みます。

また、飛び出している出窓自身の荷重により地震などの揺れによるヒビ割れやコーキングの亀裂が多くなり、雨漏りになる可能性が高くなります。

外壁の出窓外壁の出窓 外壁出窓外壁の出窓

防水シートに頼り過ぎたデザイン

外壁の内部で使われている防水シートは「透湿防水シート」という、室内の湿気放出し、雨水はブロックするものが主流になります。
これにより外壁の防水性・耐久性が高まって自由なデザインが出来るようになりました。

どの家も設計士さんが図面を作り、建築のプロが建てている筈です。
しかし、無難で安全なデザインの家より凝ったデザインにすると、雨漏りの危険が高くなってしまうのです。

デザイン優先の家は雨織しやすいドーム型屋根は設計士さんがよく採用します。
屋根の軒先が全く有りません。
デザイン優先の家は雨織しやすいこのように片流れ屋根のデザインになると、必ず壁の高い方の風当たりが強くなり、雨が逆流して入って来る場所が出てきやすくなります。

 

ルーフバルコニーがある

ルーフバルコニーというのは、バルコニーの真下が部屋になっている作りの事。(一般的なバルコニー・ベランダの場合はその真下は屋外)
つまり、ルーフ=屋根も兼ねたバルコニーと言うわけで、その床面防水に不具合が起きると階下がダイレクトに雨漏りになり大事になります。

また、ルーフバルコニー形式を採用する建物は往々にして「デザイン重視」の傾向にあるので、建物の傷みやすさや防水の確実性が軽視されがちです。
(頑丈な建物にすると、デザイン性が損なわれ、さらに個性に乏しくなるため…)

という訳で、ルーフバルコニーのある家は雨漏りの確率が高くなってしまいがちです。

下記事例は、ルーフバルコニーの出入り口サッシ付近から雨が入り込んだ事による雨漏りでした。
まさに「台風の時だけの雨漏り」なのですが、場所が階下リビングの中央です。

1回目の雨漏りでは「様子を見よう」という事でしたが2回目の雨漏りがあり、何回も漏るようでは困る…と雨漏り改修工事を行うことに。
防水工事以降の台風でも雨は漏って来ないとの事で、一安心です。

 

ルーフバルコニーの雨漏り改修ルーフバルコニーの雨漏り改修 階下のリビング中央に雨漏り階下のリビング中央に雨漏り

 

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

雨漏りなんて無い方が良いのですが…
また、ご自宅が「強風時に雨漏りしやすい家の特徴」に当てはまっていても全然嬉しくは無いのですが…

強風時に雨漏りしやすい家の特徴をまとめると、以下の4点になります。

  • 軒先の出幅が無い(少ない)
  • 窓の上にヒサシが無い
  • 防水シートに頼り過ぎたデザイン
  • ルーフバルコニーがある

もしもご自宅が「強風の時だけ雨漏りする」場合、上記のポイントに当てはまっているかを確認してみると良いかもしれません。
そしてこの記事の傾向に当てはまっていたら、雨漏り改修防水工事を行うキッカケになればと思います。

もし、雨漏りがしていなくても、この記事の傾向に当てはまっているお家にお住いの場合には、あらかじめ早めのチェックを欠かさないようにすると雨漏りで困る事が防げるでしょう。

どちらの場合にも、参考になればと思います。

 


 

投稿者プロフィール

高橋 良一
花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。

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