外壁塗装で塗る必要がある細部塗装のポイント
外壁を塗装をする時には足場が必要です。
そして、足場が必要で塗装が必要な部分は「外壁や屋根」だけではありません。
一般的に細部塗装と呼ばれたりしますが、その部分に関しては何故か軽視されがちです。
ひどい場合はサービス工事として「お客さんが塗ってと言ったら塗る」…つまり「塗ってと言われなかったら塗らない」という場合も珍しくありません。
もちろん細部塗装とは言え足場がある内に塗らないと、再度足場を架けなければなりませんので甘く見てはいけないのです。
今回はそんな外壁以外の家のパーツで塗装が必要な部分にスポットを当て、メンテナンス箇所のポイントについてお伝えします。
- 外壁塗装をする計画があり、他にも足場がある内に必要な工事は無いかな?と思っている方
では、それぞれの場所ごとにポイントを挙げて行きます。
「壁と屋根」以外の家のパーツとは?
建物(家)の外部で「壁と屋根以外」の部分にはどんな場所があるのでしょうか?
外壁塗装をするときに「塗装しない部分」と、「塗装が必要な部分」に分けてみました。
塗装しない場所
まずは、塗装しない場所は下記の素材で出来ている物があります。
- ガラス
- ステンレス
- アルミ
- モルタル・コンクリート生地
- 焼き付け塗装
- 塩ビコーティング鋼板
塗装する場所
塗装する場所は下記の素材で出来ている物があります。
- 木部
- 鉄部
- セメント系
- 塩ビ
- その他
劣化を発見出来るタイミング
外壁塗装をしていく中で、塗装をしたいパーツが劣化していれば基本的に気が付きます。
発見出来るタイミングは以下の4つです。
- 見積りの前(お客様が自ら見つけている場合)
- 見積りの時(見積り担当者が見つける場合)
- 工事中 (現場担当者・職人が見つける場合)
- 工事後 (工事中に見つけられなかった・報告をしなかった場合)
本来、傷んでいたり劣化していれば塗装が出来なければ、よほど無神経な職人か手抜き業者でない限り「見てみぬふり」は出来ません。
普通は工事中に劣化が発覚し、お施主様と補修工事をどのように進めるかの相談をする事になります。
ただ、経験不足の営業マンや職人が来ると劣化の兆候に気が付けない事もあり、そうなるとトラブルの元になってしまいます…
劣化の発見は追加工事になる
工事中に劣化が発覚すると、お施主様と補修工事をどのように進めるかの相談をする事になります。
この場合、費用が発生する補修の場合と、無料で補修出来る場合に分かれますが、費用が発生する追加工事についてもトラブルの元になりかねません。
ここは業者側とお客様側との信頼関係がきちんと出来ていないといけないのですが、全ての劣化状況を見積もり段階で見通すのは不可能です。
契約前に劣化が発見出来ていれば見積りに組み入れられますが、発見出来ない部分は追加工事なので工事金額も追加が発生します。
この事は結構デリケートな問題ですので、契約時に説明出来ていないと行けませんので、以下にポイントをまとめておきます。
- 見積りの段階で全ての劣化状況を見通すのは不可能
- 工事中も引き続き下地に劣化が無いか注意しながら作業を進める
- 工事中に劣化が見つかった場合は、追加工事が必要な場合も出て来る
- 塗装が必要な部分以外の劣化にも気付けないと、足場があるうちに対応が出来ない
私たち業者側が「追加・追加の悪質リフォーム業者」と疑われてしまいますので、この事はきちんとご理解頂けるように説明が必要になります。
塗料で耐候性を保つ建材と劣化の解説
塗装をする上で下地が傷んでいたら補修が必要になります。
下地の種類を以下の3種類に分け、それぞれのパーツの場所と特徴や注意点について解説していきます。
- 木部
- 鉄部
- 不燃材(セメント系部材)
1. 木部の劣化・腐食が多い場所
木部の劣化は主に下記の順に進みます。
- 塗装のハガレ
- 木材の腐食
足場が無くても良い場所なら気が付いた時にすぐ塗装をすれば良いのですが、高い所では良く見えないし塗りたくても塗れません。
ついつい放置しがちになり、外壁塗装をするタイミングで足場を架けて触ってみたら、木の表面の奥がグズグズに腐っていた…と言うような事があります。
家のパーツで木材が使われる部分は減って来ましたが、下記のような場所があります。
破風板
屋根の軒先の破風板(ハフイタ)が材木で出来ている場合は、30年程度で部分的な腐食が数カ所出て来ます。
基本的に木の板は伸縮してしまうので塗装の被膜が自然とハガレがちになり、塗装がハガレて雨水を含むようになると腐食が急速に進みます。
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雨戸の敷居・枠廻り
雨戸の敷居・枠廻りの劣化窓のアルミサッシの外側に雨戸が付いていると、敷居を含む枠廻りが木製の場合もあります。
木製の雨戸廻りで傷みやすい場所は以下の2点です
- 雨戸の敷居・枠廻り
一番傷むのは敷居で、長年使っている雨戸の重みで擦り減って雨戸が動かなくなる事があります。
- 北側の雨戸・雨水が掛やすい雨戸
・雨戸の敷居は凹んでいるので、どうしても雨水が溜まってしまいます。
・北側の雨戸は敷居に浸みた雨水が乾かずに、長年経つと木が腐ることも多いものです。
窓の面格子
木の縦格子が窓に付いている場合もまだまだあります。
窓格子の傷みやすい場所は以下の2点です。
- 格子の下地横桟
縦格子を留める下地の材木は窓サッシの上下に付けられています。
雨戸の敷居同様に、横向きに付いている材木は雨水が溜まりやすく、窓の下側に付いている木が腐りやすくなります。
- 縦格子を留めている釘の付け根
その縦格子と横桟は釘で留めますが、横桟側の釘穴に雨水が浸みて釘穴廻りが腐っていきます。
すると、縦格子が外れてしまいブラブラになってしまいます。
2. 鉄部の劣化・腐食が多い場所
錆びた鉄部 | 穴の開いた鉄部 | 切れた鉄部 |
鉄部は「鉄骨」と表現する厚みのあるものと、「鉄板」と表現する薄いものがあります。
どちらも共通する劣化の症状は「錆び」として下記のようになって行きます。
- 錆びる
- 穴が開く
- 切れる
場所によっては穴が開いた段階で雨漏りの原因になります。
ヒサシ
木造住宅のヒサシは、おおむねカラートタン又はガルバリウム鋼板で出来ています。
ヒサシは屋根と同じで太陽光線と雨粒を直接受ける場所なので、他の場所より条件が厳しく劣化も早いです。
ヘーベル・ALCの場合はアルミヒサシが多いので、ほぼ劣化しません。
シャッターボックス
シャッターボックスもヒサシ同様の素材で出来ている事が多く、劣化が激しい部分です。
(シャッター本体は、おおむね日中はボックスの中に入っていて劣化が遅くなります。
笠木
笠木はベランダや外壁の淵にある15㎝~20㎝程度の小さい屋根です。
ただし、笠木は屋根のように傾斜をあまり付けませんので、場所によっては凹んで水溜りになってしまう場合もあります。
そんな場所は当然錆びやすくなります。
水切り
基礎の水切り | バルコニーの水切り |
水切りは外壁内部に入り込んだ雨水を排水する場所として付けられています。
主に基礎と外壁の間にある「基礎水切り」や、ベランダ内側の壁と防水立ち上がり面の境にある「ベランタ゛水切り」があります。
他にも1階と2階の境目の壁にある場合や、外部の雨水排水設計により色々な場所に付けられています。
水切りは、その性質上雨水が溜まってしまうようでは困ります。
ですから極端に劣化することは少ないですが、1度雨どいが壊れていて雨水がザーザー掛かってしまう場所で錆びてしまった水切りがありました。
3. 不燃材(セメント系部材)の劣化・腐食が多い場所
その昔、外壁が板だったころからモルタルに代わり、今の住宅の部材にはほとんど材木が使われなくなりました。
材木に代わりセメント系の不燃材が使われるようになりました。(セメントを使っていない不燃材もあります)
不燃材は燃えにくい材料でもあり、また材木より「腐りにくい」性質があります。
とは言え劣化しない訳では無く、経年劣化により下記のような劣化の症状が出てきます。
現在主流の外部不燃材は「ケイ酸カルシウム板」という材料です。
※ケイ酸カルシウム板は略して「ケイカル板」と呼ばれます。
写真転載:チヨダセラボード
ケイカル板は経年劣化により塗料が剥がれると、雲母のようにミルフィーユ状に表面からハガレてしまうので、腐らないからと言って決してメンテナンスフリーな訳ではありません。
逆にチェックが滞って酷い状態になっている場合も多く見られるので、注意が必要です。
ケイカル板が使われている部分には以下の場所があります。
- 破風板
- 帯板
- 窓装飾枠
- 軒裏
軒裏・破風板のケイ酸カルシウム板 | 軒裏(窓装飾枠) |
樹脂系・プラスチックっぽい見た目の素材
ここに便宜上まとめた建材には、その他プラスチック系・ポリカーボーネート板・アクリル板等があります。
これらの素材は紫外線による劣化が顕著です。
ですから雨どいなどでは、日当たりの良い面と裏側とでは劣化の状況がまるっきり違う事もしばしば有ります。
カーポートやバルコニーテラスの屋根に使われているポリカーボーネートは、CDやDVDにも使われています。(マメ知識)
これだけは非常に耐候性が良く壊そうと思ってもなかなか壊れ無いので、同じカテゴリーに入れるのも変ですが見た目的にここにまとめました。
塩ビ系・プラスチックっぽい見た目の素材は以下のような場所に使われています。
- 雨どい
- テラス屋根・カーポート屋根
- ベランダのスノコ板(デッキ材)
雨どい・バルコニー屋根 | ポリカボーネード板(カーポート屋根) |
4. バルコニーの床面(防水)
築15年程度の場合、バルコニーの床材の主流は「FRP防水」です。
FRP防水は軽くて丈夫なのが特徴ですが、15年程度に1回表面の塗装(トップコート)の塗り直しが必要になります。
外壁塗装と一緒にすると、工事をするのに足場から出入りできるので何かと都合が良いでしょう。
築10年~12年で外壁塗装をする場合は、工事をするのに早すぎる気もしますが同時にしておけば安心です。
ただし、バルコニーのFRP防水は、新築時の不具合でトップコートがハガレている事があり、その場合は防水工事を1からやり直すか、再びハガレて来るのをマメにチェックする必要が出てきます。
また、リビングの真上がバルコニーという間取りも多くなっているので、バルコニーからリビングへのの雨漏り被害も増えてしまう傾向にあります。
まとめ
いかがでしたか。
家は壁と屋根以外にも色々なパーツで出来ています。
そのほとんどの部分は「塗装によるメンテナンス」が必要です。
塗らない部分は「アルミ」と「ガラス」と「電気・ガス器具類」だけ、になるでしょう。
場合によっては、外壁にヒビも無く問題無さそうに見えていても上記の建材部分がひどく傷んでいる事もあります。
外壁塗装をする計画があれば、上記の場所もきちんと不具合があるかどうかをチェックしてくれる業者(見積り担当者・現場担当者・職人)に外壁塗装を頼み、足場がある内に必要な工事は済ませ得ておきたいものです。
投稿者プロフィール
- 花まるリフォーム代表。高橋塗装店の息子として世田谷で生まれ育ち22歳で職人デビュー38歳で花まるリフォームとして独立しました。戸建住宅の「外壁塗装」に関わることなら誰よりも知識と経験が有る、そんなイケナイ自負(苦笑)があります。仕事以外ではアニメとかマンガが好きな第一次オタク世代です。