バルコニーFRP防水のメンテナンス時期を知る3つのサインとは?
バルコニーや屋上の床面がFRP防水で出来ている場合、10年から15年で塗り替え時期が来ます。
(防水床面の上に屋根や、バルコニー腰壁等の影響で日光の紫外線劣化の影響により耐候寿命が変わります)
実は、10年以上経っているお家のメンテナンスでは外壁や屋根以外にもバルコニー廻りにも劣化が集中します。
しかし、一般的には「外壁と屋根の塗り替え」として考えているため、バルコニーや屋上のFRP防水については見逃しがちになってしまうのです・・・。
外壁塗装の時に適切にメンテナンスをしておかないと、次に検討するのは【雨漏りした時】か【10年後の塗り替え時】になり、どちらも適切なメンテナンスを2回行うよりも費用と建物へのダメージは大きくなってしまいます。
そこでここでは、FRP防水のメンテナンスを適切に行うための情報として、【FRP防水の塗り替え時期を知るサイン】についてお伝えします。
- FRP防水の基礎知識
- FRP防水の劣化のサイン
- FRP防水の劣化の段階
- バルコニーがFRP防水で出来ている方
- FRP防水のメンテナンスが気になっている方
- 築10年以上のお家で、外壁塗装と同時にFRP防水も行った方が良いのか知りたい方
外壁・屋根同様、FRP防水のメンテナンスの時期も知っておけば安心
バルコニーFRP防水はよく観察すればメンテナンスの時期を知るサインが分かる
外壁塗装の塗り替え時期にサインがあるように、バルコニーのFRP防水もよく観察すればメンテナンスの時期を知るサインが分かります。
ですから、いちいち業者に見に来て診断して貰わなくても、下記の目安さえ分かっていればFRP床面のメンテナンス時期の診断は可能です。
FRP防水とは・・・お菓子で例えると?
FRP防水の「FRP」というのは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略です。
バルコニーの床に使ってあるFRPがどのように出来ているか簡単に説明すると、ガラス繊維の層にポリエステル樹脂を浸みこませて固めた塗膜防水になります。
※誤解を恐れずに例えると・・・縁日やお祭りで売っている【綿菓子をぺちゃんこに潰した板】に【べっこう飴】を流し込んで固めたようなイメージです。
FRP防水でメンテナンスをしなければいけない理由
ただ、実はそのFRP防水層は奥に有って本来見えていません。
FRP防水層は紫外線と雨水に弱いので、劣化しないようにトップコート塗装が施されているのです。
今見えているのは、のトップコート塗装が見えている事になります。
見えない筈のFRP防水層が見えていたり、雨水が浸みこんでしまう状態になっているとFRP防水層の劣化が進行して雨漏りに繋がってしまうので、メンテナンスを行う必要が出てきます。
FRP防水のチェックの方法
バルコニーの床に下記の「サイン」が出ているか、いないかを1年に一度で良いので見てみましょう。
チェックする時には事前にデッキブラシなどで床を洗ってから点検すると分かりやすいので判断が付きやすくなります。
もしチェックの結果、下記のようにサインが現れていたらメンテナンスの時期です。
外壁塗装の時期と同時なら一緒に見積りを頼みましょう。
FRP防水の劣化のサイン①: FRPの表面にハガレがれがある場合
FRP防水は表面にハガレがれがあると、防水層がダメージを受けてしまいます。
FRPの床面が下記のようにハガレて防水層が丸見えになってしまうのは本来とてもよろしくない事態です。FRP防水層からすれば丸裸の状態です。
早急に対策を取ってあげないと、ガラス繊維に隙間を埋めている樹脂が削れて穴が開いてしまいます。当然、雨漏りに繋がりますので早めに対策工事を行った方が良いでしょう。
※このケースのハガレの原因は、おおむね新築時の施工に原因がある場合が多いです。
①-1:FRP防水のトップコートの一部だけがハガレている場合
写真のように、FRP防水のトップコートの一部だけがピンポイントでハガレている場合があります。
グレーのトップコート塗装がハガレているのでガラスの繊維が見えています。ガラス繊維は本来ポリエステル樹脂に浸み込んでいるので、トップコート塗装がハガレてもすぐはこのように見えません。つまり、この写真の状態はトップコート塗装がハガレてしばらく経っている、と考えられます。
このままにしておくと、どんどん穴が開いて奥に進んでしまいます。
①-2:FRP防水のトップコートの隅や一定の場所がハガレている場合
写真のように、一定の場所に限ってトップコート塗装がハガレている場合があります。
特に写真の事例のように立ち上がり部分と床部分の隅だけがハガレている場合が多いです。
FRP防水の床面の表面が皮のようにめくれている事が多いので、見ればすぐに分かります。
①-3: FRP防水の床面の広範囲にハガレがある場合
写真のように、広範囲にトップコート塗装がハガレている場合もあります。このような場合は早急にFRP防水工事のやり直しが必要です。
ただし、この上にトップコート塗装だけをやり直す工事の方法もありますが、再度同じようなハガレが起ります。
残念ですが、最低でもガラス繊維からのやり直しも含めて状況と予算などを考慮して工事の方法を検討する必要があります。
FRP防水の劣化のサイン②: FRPの表面が経年劣化している場合
FRPの床面が経年劣化により風化して無くなってしまったり、履物などで擦れて摩耗したりすると、下記のようにキツネ色の下地(防水層)が見えて来る場合があります。
この場合もハガレ同様に放置していると下地の層に穴が開いて雨漏りに繋がりますので早めに対策工事を行った方が良いでしょう。
※このケースの風化や摩耗の原因は経年劣化の場合が多いです。
②-1: FRP防水床面の全体が劣化している場合
FRPの床面が自然に経年劣化(風化)すると、写真のようにまんべんなく下地の防水層が露出してくる場合があります。
よくあるパターンでは屋上部分や3階のバルコニーが多いようです。
屋根が無い場所では紫外線や雨に絶えずさらされているので劣化が早い事が考えられます。
②-2: FRP防水床面の一部表面が摩耗している場合
バルコニーへの出入り口の窓やドアの前にある履物の周囲で起きやすい事例です。
写真のように表面だけFRPのトップコート塗装が擦れて摩耗してしまい、防水層が出てしまう場合があります。
使用上の経年劣化ですが、ここから周囲に劣化が広がって行くのは避けたいので、トップコートの塗り替えがお勧めです。
FRP防水の劣化のサイン③: FRPの表面塗装がヒビ割れている場合
FRP防水のヒビ割れには2種類あります。
原因が大きく違うので、ヒビの割れ方をよく確認しなければいけません。
③-1: FRP防水の表面だけがビビ割れている場合
ヒビ割れの多くは、写真のようにFRP防水トップコートの表面がヒビ割れている場合です。
このようなヒビ割れが進行してハガレたカケラを見ると通常より厚みがある事が多いので、トップコート塗装を厚く塗り過ぎているのが原因のようです。
このヒビ割れからすぐに雨漏りしてしまう訳ではありませんが、下記のようなヒビ割れは放置出来ません。
FRP表面のトップコートがヒビ割れていれば下地防水層にも水が浸透しているからです。
③-2: FRP防水の下地からヒビ割れている場合
FRPの下地は12㎜のベニヤかそれに類する板で出来ている事が多いので、地震などで板の継ぎ目がヒビ割れてしまう事も有ります。
- 表面の被膜が不規則に硬い感じでヒビ割れているように見える
- 畳と似た大きさのヒビが規則正しく入っているように見える
このような場合は「ヒビ割れ」という点では似ていても防水面の下地が動く事が原因です。防水の不具合では無いので、下地の強化を行わないと再発してしまいます。
原因はともかく下記のようになって見えた場合、ひび割れ部分が完全に切れてしまえば確実に階下に雨漏りします。
そうなる早めに対策工事を行った方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
バルコニーFRP防水の劣化のサインをまとめると以下の3段階があります。
- FRP防水のハガレ
- FRP防水の劣化(摩耗)
- FRP防水のヒビ割れ
上記の場合で、下地のFRP層(=ガラス繊維)が見えている場合には修繕が必要になります。
FRP防水のガラス繊維を固めた層は太陽の紫外線と雨水に弱く、むき出しになってしまうと風化が進行します。
それを守るために表面のトップコート塗装が保護しているのです。
早ければ築5年程度でハガレが起き、10年以上経てばヒビ割れ、15年で劣化が進みます。
10年以上経っていれば外壁塗装の時期ですから、同時に見積りを取る必要が有るでしょう。
そして、状況に応じた適切なメンテナンスを行うことが家を長持ちさせるコツになります。